嫌気性微生物を用いたグリセリンの有効利活用プロセスの構築

書誌事項

タイトル別名
  • Effective Utilization Process of Crude Glycerol Using Anaerobic Microorganisms
  • ケンキセイ ビセイブツ オ モチイタ グリセリン ノ ユウコウ リ カツヨウ プロセス ノ コウチク

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抄録

<p>地球温暖化や循環型社会への転換が進むなか,植物油脂を原料としたバイオディーゼル燃料の利用が増大している。そのため,製造時に副生する高アルカリ性の廃グリセリンの処理が問題となっている。 この廃グリセリンは,そのまま焼却処分すると焼却炉を傷める原因となる上,中和,脱塩,洗浄操作を行うと,処理コストが高額になってしまう。筆者らの研究グループは,この高アルカリ性の廃グリセリンを,嫌気発酵分解プロセスにより前処理なしでそのままバイオガスや化成品原料などの資源やエネルギーに変換できることを見出した。なかでも,下水汚泥を種菌として用いた廃グリセリンの嫌気発酵分解においては,廃グリセリンの投与量によってメタン発酵と水素発酵が切り替わることを見出した。また,水素発酵が優勢な状態では,化成品原料である1,3-propandiol(1,3-PDO)が生成した。グリセリン分解における,発酵制御因子の検討においては,投入原料の約1/100という極微量のグルコースを投与するだけでグリセリン耐性を持つ水素発酵菌の優勢化を促進させることに成功し,嫌気性菌にとって難分解性であるグリセリンを高効率で水素へ変換させることにも成功した。また,食品厨芥と廃グリセリンのパイロットスケールでの共発酵試験も実施し,廃グリセリンがpH 調整剤と炭素源を兼ねた,良好な投入原料であることを実証した。本総説では,筆者らの研究グループがこれまでに行った研究成果について紹介するとともに,今後の展望についても概説する。</p>

収録刊行物

  • Oleoscience

    Oleoscience 17 (7), 295-304, 2017

    公益社団法人 日本油化学会

参考文献 (13)*注記

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