Research on multi-drag resistant bacteria in aquatic environments

  • Urano Naoto
    Department of Ocean Science, Tokyo University of Marine Science Technology
  • Ishida Masami
    Department of Ocean Science, Tokyo University of Marine Science Technology
  • Okai Masahiko
    Department of Ocean Science, Tokyo University of Marine Science Technology
  • Takasio Masachika
    Zensho Laboratories of Food Technology, Zensho Holdings Co., Ltd.
  • Takei Toshinori
    Zensho Laboratories of Food Technology, Zensho Holdings Co., Ltd.

Bibliographic Information

Other Title
  • 水圏環境における多剤耐性菌の繁殖度調査
  • スイケン カンキョウ ニ オケル タザイ タイセイキン ノ ハンショクド チョウサ

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Abstract

日本の都市を縦断する第一級河川はヒトの生活圏の影響を強く受け、環境水中に残存する抗菌薬濃度がかなり高いとの報告がある。筆者らは東京都と神奈川県境を流れる多摩川を例に取り、水中の多剤耐性菌の繁殖度を調査した。一般細菌および薬剤耐性菌は中流~下流にかけて高濃度に生息していたが、上流では急激に低濃度となった。一方で8種類の抗菌薬を用いて多剤耐性菌の検査を行ったところ、中流~下流では3剤耐性菌が、上流では5剤耐性菌が最も多く検出された。このことから、上流域において高次の多剤耐性菌の繁殖要因が存在する可能性が示唆された。都市河川の上流域にはしばしば養魚場や養鶏場・養豚場等が点在し、抗菌薬を配合した餌料を養魚や家畜に、日常的に給餌している。養魚水等はそのまま環境中へ放水されるケースも多い。そこで筆者らはモデル実験として、飼育魚糞中の耐性菌増殖に及ぼす配合餌料の影響を調べた。魚に抗菌薬非配合餌料を日々給餌している間は糞中の耐性菌数がほぼ0であったが、抗菌薬配合餌料の給餌に換えると糞中の耐性菌数が急上昇した。約1ヶ月経て糞中の耐性菌数がほぼ最大値を示した後、抗菌薬非配合餌料での給餌を再開すると、20日間前後で耐性菌数がほぼ0となった。さらに1種類の抗菌薬を給餌しただけで、魚糞中に多剤耐性菌が高頻度で出現することも観測された。よって河川上流域に多剤耐性菌が多い原因の1つに、養魚場等の施設における抗菌薬の使用が推測される。多摩川では中流域で一般細菌や薬剤耐性菌が多数出現し、抗菌薬の汚染度が高いと考えられたため、中流における多剤耐性糞便系大腸菌群の繁殖度を調査した。単離した糞便系大腸菌群のうち63株を分類同定したところ、大部分がEscherichia coliかKlebsiella spp.であった。それらの中に1剤~6剤耐性菌が25株存在し、6剤耐性を持つE. coli hfa7はセファロスポリン系薬剤に耐性を持ち、CTX-M-1遺伝子を持つ基質特異性拡張性β-ラクタマーゼ(ESBL)産生菌であることがわかった。都市河川の中流域~下流域では、河川水の5割以上を水再生センターからの放出再生水が占めているため、再生水が多剤耐性菌繁殖の一因と成っている可能性が高いと推測される。そこで筆者らは、水再生センター内の水流路中の糞便系多剤耐性大腸菌群を調査した。菌群数は下水道からの流入水で高く、曝気槽水、浄化水、次亜塩素酸処理水と徐々に減少したものの、最終的な流出水中でも生菌が存在することがわかった。この結果は筆者らの仮説を支持していた。

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