高齢血液透析患者の原疾患の違いが身体機能に及ぼす影響

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抄録

<p>【目的】</p><p>血液透析(HD)患者は透析の原疾患の違いが身体機能へ及ぼす影響が異なると考えられる。特に糖尿病(DM)を原疾患に持つ患者はDM性末梢神経障害により、他の原疾患より身体機能が低下すると予測される。そこで本研究の目的はHD患者の原疾患の違いが身体機能のどのような側面に影響を及ぼすか明らかにすることとした。</p><p> </p><p>【方法】</p><p>対象は65歳以上で週3回HD治療を行っている外来HD患者25名(男/女:17/8)とし、調査に影響を与えうる神経・精神・整形疾患(下肢骨折の既往、変形性関節症)を有する者は除外した。カルテ情報から透析の原疾患の違いで、DM群と非DM群(DM/非DM:11/14)に分類した。測定項目として、転倒歴は過去一年間の転倒の有無を聴取し、身体機能評価はバランス機能(日本語版Mini-BESTest)、筋力(握力、膝伸展筋力)、認知機能(MMSE)、感覚機能(触圧覚、振動覚)、自律神経機能(起立試験)、身体活動量を測定した。統計学的解析に対応のないt検定、Mann-WhitneyのU検定およびχ2検定を用いて2群間の各測定項目を比較した。なお有意水準は5%とした。</p><p> </p><p>【結果】</p><p>DM群は非DM群と比較して触圧覚で機能低下認めた者の割合が有意に高かった(DM:64%、非DM:0%、p=0.001)。振動覚と自律神経機能はDM群で機能低下を認めた者の割合が高かったが2群間で有意差は認められなかった(振動覚DM:82%、非DM:50%、p=0.208、自律神経機能DM:64%、非DM:21%、p=0.115)。その他の測定項目は2群間で有意な差を認めなかった。</p><p> </p><p>【考察および結論】</p><p>高齢HD患者においてDMが原疾患の患者は触圧覚が有意に低値で、感覚機能が低下していることが示唆され、原疾患がDMの高齢HD患者の身体機能低下の特徴が示された。このことから、原疾患をDMに持つ高齢HD患者に対しては、感覚機能低下を考慮して運動プログラムを作成する必要があると考えられた。</p><p> </p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本研究は札幌医科大学倫理委員会(承認番号:29-2-12)および医療法人社団豊生会東苗穂病院の倫理委員会の承認を得たうえで実施した。また、対象者に対しては研究の目的と内容について十分に説明し、書面にて同意を得たうえで調査を行った。</p>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 46S1 (0), A-119_2-A-119_2, 2019

    公益社団法人 日本理学療法士協会

キーワード

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390564238110781056
  • NII論文ID
    130007692459
  • DOI
    10.14900/cjpt.46s1.a-119_2
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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