めまい患者のかがみ動作に対する前庭リハビリテーションの関連因子
書誌事項
- タイトル別名
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- -Dizziness Handicap InventoryおよびBerg Balance Scaleのサブスケールによる因子分析-
説明
<p>【はじめに、目的】めまいを有する患者は,頭を動かす動作によってめまい症状が誘発され,平衡機能障害だけでなくシャワーや洗顔時の頭の上下運動で制限を受けやすいこれらの障害は,めまい患者の日常生活における障害の程度を評価するDizziness Handicap Inventory(DHI)の身体機能面(DHI-Physical:DHI-P)のサブスケールにおいて反映されている.そのため,めまい患者が日常生活活動を再獲得するためには,DHI-Pのサブスケールとバランス能力の関連性を明らかにする必要がある.Berg Balance Scale(BBS)は,座位から片脚立位までの静的なバランス能力を評価する指標であり,臨床的に広く用いられている.我々は,末梢性めまい患者に対する前庭リハビリテーション(前庭リハ)の効果をDHI-PおよびBBSのサブスケールで評価し,かがみ動作と関連する因子を検討することを目的とした.</p><p> </p><p>【方法】対象は,めまいを主訴としてA病院を受診し,中枢神経疾患がない前庭リハを施行された末梢性めまい患者21名(平均年齢64.6±17.1歳)とした.前庭リハ後の評価は,DHIおよびBBSを用いた.DHIは,身体機能,感情,生活機能のカテゴリーからなる25項目の質問で構成されており,100点満点で点数が高いほど障害度が重い.DHIのサブスケールの身体機能項目(DHI-P)は,上を向く,陳列棚の間を歩く,家事動作,頭をすばやく動かす,寝返る,歩道を歩く,身体をかがめるの7つの動作時にめまいが増強するかを3段階(4,2,0点)で評価する.BBSは14項目(椅子からの立ち上がり,立位保持,座位保持,着座,移乗,閉眼立位保持,閉脚立位保持,上肢前方到達距離,床から物を拾う,左右の肩越しに後ろを振り向く,360°回転,段差踏み換え,継ぎ足保持,片脚立位保持),5段階(0から4点)で評価する.56点満点で点数が低いほどバランス能力が低い.めまい患者のかがみ動作の治療効果に影響を及ぼす因子を決定するため,身体をかがめる(DHI-P)の治療前後の差を従属変数とし,DHI-PおよびBBSのサブスケールの治療前後の差を独立変数としたステップワイズ重回帰分析を行い,有意水準は5%とした.</p><p> </p><p>【結果】重回帰分析の結果,身体をかがめる(DHI-P)の治療効果に影響を与える因子は,椅子からの立ち上がり(BBS)の治療前後の差が抽出された.得られた回帰式は,身体をかがめる(DHI-P)の治療前後の差=-0.82+椅子からの立ち上がり(BBS)の治療前後の差×-2.08となり,寄与率は58.3%となった(t=-0.54,p<0.001,F=28.96).</p><p> </p><p>【結論(考察も含む)】身体をかがめる動作は,頭部の上下動における頭部の運動制御である前庭頚反射,網膜像のブレを防ぐ前庭眼反射が関連している.そのため,めまい患者が日常生活で頭部の上下動を伴う活動の獲得には,上下の前庭眼反射や前庭頚反射を再獲得することが必要だと考える.</p><p> </p><p>【倫理的配慮,説明と同意】所属施設およびA病院の倫理審査委員会の承認を得て実施した.</p>
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 46S1 (0), H2-187_1-H2-187_1, 2019
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390564238110893440
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- NII論文ID
- 130007693772
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可