スマートフォンアプリケーションを使用した定量的体幹可動性評価の信頼性、妥当性の検討
抄録
<p>【はじめに、目的】</p><p>体幹の関節可動域測定は,基本軸(仙骨後面),移動軸(第1胸椎棘突起と第5腰椎棘突起を結んだ線)に角度計を当てることが難しく,非常に難易度が高い測定法である.また,指床間距離測定は簡便であるが,体幹の可動性に加え,股関節の柔軟性の影響を受ける.そこで,本研究では,スマートフォンのアプリケーション(以下,アプリ)を用いた定量的体幹可動性評価方法を行い,その信頼性と妥当性について検討した.</p><p>【方法】</p><p>対象者は男子学生ボランティア11名(年齢21-22歳),検者は理学療法士(以下,PT)3名,学生1名とした.三次元動作解析装置(UM-CAT,ユニメック社製),スマートフォン2台を角度測定に用いた.スマートフォンにはフリーアプリであるグリッド線撮影アプリProfessional(Naradewa Inc.製)をダウンロードした.検者1名が全対象者の第1胸椎棘突起,第5腰椎棘突起,仙骨上縁,下縁に反射マーカーを貼付した.マーカー貼布後,対象者は座位になり,体幹を最大屈曲した.屈曲最終域で検者1名が三次元動作解析装置による測定,検者2名(PT1名,学生1名)がスマートフォンで写真撮影,さらに目測での体幹屈曲角度測定を同時に実施した.角度の測定は第1胸椎棘突起,第5腰椎棘突起を結んだ線と仙骨上縁,下縁を結んだ線の交点の角度を測定した.検者2名は目測での可動域を記録後,スマートフォンで撮影した画像からアプリを使用して角度の測定を実施した.アプリ,目測の2つの角度測定は2名の検者の測定結果の検者間信頼性について級内相関係数を用いて算出した.また,PTによる三次元動作解析装置,アプリ,目測の3つの測定方法間の差を反復測定分散分析,多重比較法としてShaffer法を用いて検討した.さらに三次元動作解析装置とアプリの間の相関関係についてPearsonの積率相関係数,一致度についてBland-Altman分析を実施し,妥当性の検討を行った.統計処理はすべてR2.8.1を用い,有意水準は5%とした.</p><p>【結果】</p><p>各測定における体幹屈曲角度の平均値(標準偏差)は,三次元動作解析装置による測定が50.2(10.7)°,アプリによる測定はPTが54.7(11.4)°,学生が57.2(13.0)°,目測による測定はPTが42.6(9.2)°,学生が51.4(9.8)°となった.アプリ,目測のICC(2, 1)は0.93,0.44となった.反復測定分散分析では主効果を認め,多重比較法では3群間すべてで有意差を認めた.三次元動作解析装置とアプリの間の相関係数はr=0.96であり,Bland-Altman分析の結果,加算誤差を認め,Limits of agreementは7.06-1.97°であった.</p><p>【結論】</p><p>アプリによる体幹可動性評価は定量的で目測よりも信頼性が高く,基準関連妥当性の高い評価になる可能性が示唆された.また,三次元動作解析装置よりも大きい角度結果になることが明らかになった.</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本研究は所属機関生命倫理審査委員会の承認を得て実施した.また対象者にはヘルシンキ宣言に則って研究の方法を十分に説明し,書面にて同意を得て実施した.</p>
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 46S1 (0), H2-173_2-H2-173_2, 2019
公益社団法人 日本理学療法士協会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390564238110896640
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- NII論文ID
- 130007693813
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可