シェーグレン症候群に間質性肺炎を併発した症例に対する理学療法の効果

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抄録

<p>【背景】シェーグレン症候群(SS)は外分泌腺機能不全を呈する自己免疫疾患で, 根治法がなく対処療法が中心に行われている. 腎障害, 中枢・末梢神経障害, 間質性肺炎(IP)やうつ症状など多彩な症状を合併することからQOL低下を招き,なかでもIPは有効な治療法がなく難治性である. 一方, 安定期特発性IPに対するリハビリテーション効果は散見されるが, SS合併IPに対する理学療法の効果についての報告は極めて少ない.</p><p> </p><p>【症例】69歳女性.20年前にSS、2年前にSS合併IPと診断. 今回, 階段昇降時の呼吸困難に対する呼吸リハビリテーション導入および酸素療法適応判定を目的に入院した. mMRC息切れスケールGrade2、努力性肺活量1.54L,%努力性肺活量%71,一秒率78%. 等尺性膝伸展筋力体重比(WBI)53%、6分間歩行距離(6MWD)は414mでその際の最低SpO293%,修正Borg Scaleは4であった. COPD Assessment Test(CAT)スコア12点でQOL は低下していた. 運動療法と患者教育を中心とした介入を入院期は毎日,退院後も週1回の頻度で9ヶ月間継続した.</p><p> </p><p>【経過】退院3ヶ月後にWBI53%,6MWD466m, CAT10点, 9ヶ月後には, mMRCgrade1, WBI57%, 6MWD502m, CAT5点と改善を認めた.</p><p> </p><p>【考察】自験例では特発性IPにおける報告と同様に6MWD , HRQOLが改善し,SS合併IPに対しても特発性IPと同様の理学療法効果が期待できることが示唆された.一般にIPではmMRCの重症度が高いほど介入効果が乏しくなることが報告されており, 自験例においても比較的軽症な段階から早期に介入したことで奏効したと考えられた.一方で自験例においては労作性呼吸困難や疾患に対する不安,抑うつ症状がQOLの低下に影響した可能性があり, SS患者に対する理学療法介入と効果判定に際しては, 不安や抑うつに対する評価も必要であると考えられた.</p><p> </p><p>【倫理的配慮,説明と同意】本人に十分な説明の上、発表の同意を得た</p>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 46S1 (0), A-73_1-A-73_1, 2019

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390564238111169920
  • NII論文ID
    130007692596
  • DOI
    10.14900/cjpt.46s1.a-73_1
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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