当院通所リハビリテーションにおける、身体機能評価とIADLの変化量の関係

書誌事項

タイトル別名
  • -6ヶ月間の能力の変化に着目して-

説明

<p>【はじめに・目的】</p><p>通所リハビリテーション(以下、通リハ)の役割とは、医学的な管理のもとで心身機能の維持や向上を図り、利用者の生活を再建・拡大する事とされている。当院は短時間利用の通リハを運営している。「訪問・通所リハビリテーションの実態調査」では通リハの短時間利用では主に歩行・応用歩行能力の改善が認められると報告されている。また、厚生労働省の調査では通リハのプログラムの実施内容は「筋力増強運動」が一番多いとされている。上記の内容から、短時間の通リハでは筋力増強運動により活動レベルの改善が認められる利用者が多い事が考えられた。しかし、身体機能と手段的日常生活動作(以下、IADL)の経過の関係性を検討した報告は認められなかった。そのため今回、当院の通リハを利用された者を対象とし、当院の「通所リハビリテーション計画書」を作成する際に使用する左右の握力、Timed Up and Go(以下、TUG)、Frenchay Activities Index(以下、FAI)の経過の比較と身体機能の変化とIADLの変化の関係について後方視的に検討した。</p><p>【方法】</p><p>本研究は当院の通リハに平成29年4月〜平成30年6月までの間に継続して6ヶ月以上通われた8名とした(平均年齢82.5±5.5歳、男性3名、女性5名)。採用基準として①右利きである者②脳卒中等による重度な片麻痺を生じていない者③指示の理解が可能であり研究の同意が得られた者とした。</p><p> 握力の測定には、デジタル式握力計(竹井機器工業製)を使用した。測定肢位は立位もしくは座位で、左右の上肢を体側に垂らした状態で実施した。左右1回ずつ練習した後2回測定し、最大値を代表値とした。TUGの計測は合図で立ち上がり出来るだけ早く歩き、3m先の目標物を回って座るまでとした。1回の練習の後2回測定し、最速のタイムを代表値とした。なお、歩行補助具は任意の物を使用した。FAIは質問用紙にて実施し、該当する項目を自由に記入し、合計値を採用した。統計処理として、左右の握力とTUG、FAIの初回評価と最終評価の値を対応のあるt検定にて比較検討した(有意水準5%未満)。また、初回評価と最終評価のFAIの変化量と左右握力、TUGの変化量を各々Pearsonの積率相関係数にて求めた(有意水準5%未満)。</p><p>【結果】</p><p>右握力の初回評価は20.4±6.1kgから最終評価20.8±6.4kgへ、左握力は16.5±5.0kgから18.8±6.5kgへ変化した。TUGは12.9±4.8秒から14.2±7.7秒へ変化した。FAIは12.6±7.8点から15.9±10.4点へ変化した。左右握力、TUG、FAIには初回評価と最終評価間で有意な差は認められなかった。FAIにおいてTUGに負の相関が認められた(r=-0.870、p<0.01)。</p><p>【結論】</p><p>先行研究において、IADLと握力、TUGには相関関係が認められている。本研究では、FAIとTUGの変化量に負の相関関係が認められる結果となった。そのため、FAIの改善においては筋力増強運動より能動的な動作練習の方が効果を認める事が示唆された。</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本研究は、被験者に研究の趣旨と方法を書面にて十分に説明し、同意を得て実施した。</p>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 46S1 (0), G-82_1-G-82_1, 2019

    日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390564238111245568
  • NII論文ID
    130007693436
  • DOI
    10.14900/cjpt.46s1.g-82_1
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ