血液透析中の筋電気刺激が筋力および身体組成に及ぼす影響

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抄録

<p>【目的】 血液透析 (HD) 導入患者は,骨格筋量・筋力の低下が生命予後を悪化させると報告されている.しかし,HD患者は運動耐用能の低下により,有酸素性運動および抵抗性運動の継続が困難なことが多いことから,筋電気刺激 (EMS) による他動的な筋収縮により,骨格筋肥大および筋力増大を目的として実施されている.また,HD中に実施することで,透析効率の改善を認めたと報告されているが,HD患者の身体的負担も考慮し,1週間の透析中におけるEMS介入回数を減少させることも重要である.そこで本研究では,週3回のHD患者に対して,週2回のEMSが筋力および身体組成に及ぼす影響を検討した.</p><p> </p><p>【方法】 HD患者の男性5名を対象に,EMSの介入をHD開始から2時間以内にベルト電極式骨格筋電気刺激装置にて,周波数20Hz,duty cycle は5秒間刺激後,2秒間休止とし,最大耐性強度で30分間の筋電気刺激を週2回,HD中に6週間実施した.評価はEMS介入前後の透析終了後に膝伸展筋力は座位膝90°屈曲位における最大等尺性膝伸展筋力,身体組成は生体電気インピーダンス法にて測定した.</p><p> </p><p>【結果】EMS介入前後の膝伸展筋力は,3.1 ± 1.2N/kg,3.5 ± 1.4N/kgであり増加傾向を示した.骨格筋量は 26.4 ± 3.7kg,26.3 ± 4.1kgであり,体脂肪率は,23.4 ± 6.2%,24.0 ± 5.1%でEMS介入による変動はなかった.</p><p> </p><p>【結論】 HD患者に対して,EMSの実施を週2回,HD中に6週間実施することで,筋力は改善傾向を示したが,骨格筋量および体脂肪率の変化はみられなかった.そのため,骨格筋量および体脂肪率の改善には,介入回数および期間の検討が必要と考えられる.</p><p> </p><p>【倫理的配慮,説明と同意】本研究は徳島県鳴門病院における研究倫理委員会の承諾を得て実施した(1333).対象者には,事前に研究内容および趣旨などについて説明し,インフォームドコンセントを得た後に研究を開始した.</p>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 46S1 (0), A-114_2-A-114_2, 2019

    公益社団法人 日本理学療法士協会

キーワード

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390564238111535232
  • NII論文ID
    130007692473
  • DOI
    10.14900/cjpt.46s1.a-114_2
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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