超音波診断装置による母趾外転筋形態測定の信頼性の検討

DOI
  • 渡邊 修司
    帝京科学大学 医療科学部 理学療法学科 国際医療福祉大学大学院 保健医療学専攻 理学療法学分野
  • 廣瀬 昇
    帝京科学大学大学院 医療科学研究科 総合リハビリテーション学専攻
  • 新永 拓也
    帝京科学大学 医療科学部 理学療法学科
  • 丸山 仁司
    国際医療福祉大学大学院 保健医療学専攻 理学療法学分野

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p>足内在筋の弱化は高齢者の転倒や立位バランス能力の低下に関連することが報告されている。特に、足内在筋の一つである母趾外転筋(以下AH)は母趾外転作用を有する唯一の筋であり、内側縦アーチ(以下MLA)の直下に位置する解剖学的な特徴から、外反母趾や荷重時の足部回内を抑制する作用などが報告され、臨床でも注目されている。最近では、超音波診断装置(以下US)による筋形態測定の有用性が諸家により報告されている。一方で、足内在筋形態の測定方法に関する報告は少ない。そこで、本研究ではAHの筋形態の測定方法と信頼性について検討した。</p><p>【方法】</p><p>健常成人男性7名(年齢21±0.5歳)7足(足長251±7.6mm足幅94.7±6.6mm足囲228.6±9.2mm)を対象とした。測定項目はUSから得られるAHの内外側幅(以下MLW)、底背側幅(以下DPT)、横断面積(以下CSA)、羽状角(以下PA)、筋束長(以下FL)、とした。USの撮影モードはBモードとし、プローブはリニアプローブを使用した。測定肢位は長坐位にて膝関節軽度屈曲位、足関節底背屈0°位とした。測定部位は短軸画像を舟状骨直下とし、長軸画像を踵骨内側隆起と第1中足骨間の長軸と舟状骨直下の短軸が交わる部位とした。検者はUS使用経験のある理学療法士(以下検者A)とUS使用経験の無い理学療法士(以下検者B)の2名とした。測定は両検者とも2回行い、1日目の測定の1週間後に2日目の測定を実施した。USより得られたデータから級内相関係数(ICC)を求め、検者A・Bの検者内信頼性ICC(1,1)と、検者A・Bの検者間信頼性ICC(2,1)を算出した。</p><p>【結果】</p><p>各測定項目の検者内信頼性(検者A・検者B)はMLW(0.93・0.79)、DPT(0.91・0.64)、CSA(0.94・0.84)、PA(0.87・0.74)、FL(0.81・0.65)であった。測定1日目の検者間信頼性はMLW(0.95)、DPT(0.76)、CSA(0.96)、PA(0.79)、FL(0.61)であり、測定2日目の検者間信頼性はMLW(0.97)、DPT(0.98)、CSA(0.98)、PA(0.81)、FL(0.69)であった。</p><p>【結論(考察も含む)】</p><p>本研究の結果から、検者内信頼性、検者間信頼性共に各測定項目で高い信頼性を確認できた。一方で、検者Aに比し検者Bの検者内信頼性係数は低値であったことから、USによる筋形態測定は、事前に検者の十分な測定方法の習得が必要であることが示唆された。また、短軸画像から得られるMLW、DPT、CSAに比し、長軸画像から得られるPA、FLの検者内信頼性係数、検者間信頼性係数共に低値であったことから、PA、FLの測定方法は、さらなる検討が必要であると考えた。以上より、AH筋形態測定としてUSは有用であるが、より高い信頼性を得るためにその測定方法には未だ改善の余地があることが示唆された。</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本研究はヘルシンキ宣言に基づき計画され、帝京科学大学のヒトを対象とする倫理委員会の承認を得て実施した(承認番号:18020)。また、研究概要および方法を本人へ説明し、同意と署名を得て実施した。</p>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 46S1 (0), H2-151_2-H2-151_2, 2019

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390564238111639808
  • NII論文ID
    130007693658
  • DOI
    10.14900/cjpt.46s1.h2-151_2
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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