胸椎後弯姿勢が歩行動作停止直後のバランスに及ぼす影響
Bibliographic Information
- Other Title
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- -フラクタル解析を用いた姿勢制御特性-
Description
<p>【はじめに】</p><p>日常生活活動(ADL)において,人は立ち上がり動作後,その場で様々な動作を行ったり,目的地へ移動するための歩行動作に移行したりする.このようにADLでは一連の時間の中で,立位保持姿勢を介し,各種動作はシームレスに繋がっている.そのため,動作と次の動作を繋ぐ立位姿勢を安定させるための姿勢制御は重要な課題である.安静立位に関する研究報告は多数存在するが,動作終了直後から安静立位保持の姿勢制御について検討した報告は少ない.また,動作終了直後の姿勢制御に関する研究としては,運動学・運動力学的パラメータから量的視点で検討したものが多い.しかし,非線形波形で揺らぎの特性を持つフラクタルの視点で姿勢制御を検討した研究は極めて少ない.</p><p>【目的】</p><p>本研究は,高齢者の姿勢として多くみられる胸椎後弯姿勢が,歩行動作停止直後の安静立位保持バランスに及ぼす影響について, stabilogram diffusion analysis(SDA)を用いて検討する事である.</p><p>【方法】</p><p>対象は,30歳代の男性1名とした.課題動作は,歩行(歩幅0.7m,歩行率117steps/min)とし,開始地点から直線歩行路上を歩き,7m先の終了地点で,左脚で停止するよう指示した.左脚接地側の床反力計より,床反力が出現した地点を歩行停止と規定した.姿勢は,特に規定を設けない姿勢(正中位姿勢)と,装具により胸椎後弯位で固定した姿勢(後弯姿勢)の2条件とした.両条件ともに歩行動作停止直後より30秒間の安静立位姿勢を保持させ,視線は前方に設置したスクリーン全体を注視するよう指示した.計測は床反力計2枚(AMTI社製,100Hz)を使用し,座標系の左右成分をx,前後成分をyと定義した.</p><p> SDAはCOP座標データから,COP移動距離の二乗値(COP変位量)を求め,時間を横軸,30秒間の平均変位量を縦軸にプロットする.この過程を,x,y,xとyの和を合成成分(r)とし処理を実施した.そして,停止直後から10秒間の回帰直線を求め,その傾き(拡散係数)を算出した.</p><p>【結果】</p><p>拡散係数(mm2/s)は,正中位姿勢においてx:4.23,y:2.91,r:7.14であった.後弯姿勢において,x:1.06,y:11.38,r:12.49であった.</p><p>【結論】</p><p>SDAはCOP動態から姿勢制御方略を分析できる手法である.拡散係数が高値である事は,COP動態が不安定な状態を示す.特にy方向の拡散係数の増加率が高い事から,前後方向の姿勢制御能が低下していると考えられる.以上の事から,後弯姿勢は立位姿勢の不安定性を引き起こす一要因になる可能性が示唆された.</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本研究は九州看護福祉大学倫理委員会の承認(承認番号:30-002)を得て,被検者には研究の目的および方法を十分に説明し,研究に参加することに対する同意を得て実施した.</p>
Journal
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- Congress of the Japanese Physical Therapy Association
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Congress of the Japanese Physical Therapy Association 46S1 (0), H2-233_1-H2-233_1, 2019
Japanese Physical Therapy Association(Renamed Japanese Society of Physical Therapy)
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Keywords
Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390564238111654528
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- NII Article ID
- 130007693844
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed