大腿四頭筋セッティングは膝蓋上嚢の柔軟性に影響を与えるか
書誌事項
- タイトル別名
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- -核磁気共鳴画像法(MRI)による解析にて筋力と可動域の関係生を紐解く-
説明
<p>【はじめに、目的】大腿四頭筋セッティングは、膝蓋骨の動きが確認できることからPatella settingとも称されており、我々は簡易な筋力強化という認識のみでなく、大腿骨と膝蓋骨を結ぶ膝蓋上嚢の柔軟性にも影響しているものと捉えている。膝蓋上嚢の癒着に伴い膝蓋骨下方移動の制限による屈曲不全や大腿四頭筋収縮時の膝蓋骨伝達力低下による自動伸展不全が生じることは広く知られており、その柔軟性を維持することは臨床的価値が高い。そこで本研究では、MRIを用い膝蓋上嚢を矢状断・冠状断で画像解析し、大腿四頭筋セッティングが膝蓋上嚢の柔軟性に有効か検証を行う。</p><p>【方法】対象は整形疾患を有さず膝関節に可動域制限を呈さない男性10名(20肢)、年齢:20.7±0.7歳。膝蓋上嚢の解析は、日立MRイメージング装置を使用し矢状断及び冠状断を用い安静時と大腿四頭筋セッティング時を撮影した。膝蓋上嚢の解析にはT2脂肪抑制を用い、撮影条件は膝蓋骨上下左右にマーカーを設置し、冠状断では安静時の膝蓋骨下縁を基準線とし、上方に5mm間隔に25スライス撮影、膝蓋上嚢のa.面積、b.縦径、c.横径を計測した。矢状断では膝蓋骨上下縁を基準線とし、d.膝蓋上嚢長さを計測した。また、T1強調を用いてe.膝蓋骨―大腿骨距離(以下PF距離)、f.膝蓋骨高さを計測した。上記6項目を(安静時/大腿四頭筋セッティング時)で比較、統計処理にはWilcoxonの符号付順位和検定を用いた。また、有意差のあった項目をSpearmanの相関係数を用いて検証した。</p><p>【結果】結果を(安静時/大腿四頭筋セッティング時)で示す。a.面積(373.35mm²/482.57mm²)、b.縦径(41.83mm/45.16mm)、c.横径(141.45mm/151.16mm)、d.膝蓋上嚢長さ(22.01mm/29.17mm)、e.PF距離(9.36mm/7.17mm)、f.膝蓋骨高さ(53.31mm/56.35mm)。a.面積(p<0.05)、d.膝蓋上嚢長さ・e.PF距離・f.膝蓋骨高さ(p<0.01)に有意差を認めた。有意差のあった項目をSpearmanの相関係数(r)を用いて検証し、d.膝蓋上嚢長さとf.膝蓋骨高さとの間に有意な相関を認めた。(r=0.38;p<0.05)</p><p>【結論(考察も含む)】膝蓋上嚢面積の有意な増加において、膝関節伸展位で膝蓋上嚢は2重膜構造を呈することから容量は本来広く、そこへ滑液が流入し面積が増大したと考えられる。膝蓋上嚢長さの有意な増加においては、膝関節筋が膝蓋上嚢に付着するため膝関節伸展の際に膝蓋上嚢を上方へ引き上げることで柔軟性に寄与するものと予測される。また、膝蓋上嚢長さと膝蓋骨高さの相関から、膝関節筋は中間広筋の深層から起始し、膝蓋上包の近位後面に付着する筋であり、膝蓋骨底に停止する中間広筋の収縮時に膝関節筋が連動して作用し、膝蓋骨並びに膝蓋上嚢の同時的な引き上がりが起きていると推察する。以上のことから大腿四頭筋のセッティングは元来の筋力強化という概念のみでなく、膝蓋上嚢の柔軟性に繋がる側面を考慮し日々の診療にあたることが重要と考えている。</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】ヘルシンキ宣言に基づき、研究者が対象者に研究の概要・目的・方法等を別紙の「説明文書」で説明を行う。研究への参加、不参加、および研究途中での撤回については、いかなる不利益も受けないことを説明し、文書に記載した自由意思による同意を得る。得られたデータは、個人を特定できないように連結匿名化とする。また、個人情報の処理に行うパソコンは外部との通信ができない状態にするなどの措置を講じる。なお、本研究は本校倫理審査委員会の承認を得て実施している。</p>
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 46S1 (0), H2-28_2-H2-28_2, 2019
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390564238111663232
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- NII論文ID
- 130007693935
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可