甘味とうま味の相互作用の検討

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  • Examination of the interaction between sweetness and umami

抄録

<p>【目的】だしが基本となる汁物は,具材として様々な食品を組み合わせて調理される。我々は,具だくさんの汁物である郷土料理「こづゆ」を,こづゆだし(ホタテ干し貝柱・干し椎茸)または混合だし(かつお・昆布)で調製し,分析型官能評価を実施した。その結果,うま味の弱いこづゆだしを使用することで,具材由来の甘味が感じやすくなることを報告した。本研究はうま味が甘味を抑制するかを検証するため,その相互作用を分析型官能評価により検討した。</p><p>【方法】パネルは五味及び濃度差識別訓練を受けた学生及び教員の計10名(女性)とした。官能評価用試料は5水準とし,甘味はグルコース溶液3.5 g/100 g,うま味は一般的な混合だしを想定したグルタミン酸ナトリウム10 mg/100 g+イノシン酸ナトリウム15 mg/100 g 溶液を基準試料とした。甘味-うま味混合試料(混合試料)は,グルコース濃度を基準と同一にし,うま味濃度を基準と同一,その1/2,2倍量に変えて調製した。各試料の甘味,うま味強度は,官能評価ソフトウェア(FIZZ)を用いて線尺度法で評価した。供試温度は60 ℃とし,各試料間に30秒の間隔を設け,口内は水と無塩クラッカーで洗浄した。</p><p>【結果および考察】混合試料のうち,うま味濃度が基準と同一,及び2倍の2試料では,基準の甘味試料に比べ,評価値が有意に低下した。これは,うま味濃度が高くなると甘味が弱く感じられる抑制効果を示唆すると考えた。汁物の調理では,調味料と共に食品から溶出した甘味成分もおいしさの因子となる。本成果から,食品由来の甘味を活かす汁物調理を行うためには,うま味強度の配慮も必要であり,調理品に合わせただしの選択が重要であると考えられた。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390564238111708928
  • NII論文ID
    130007695640
  • DOI
    10.11402/ajscs.31.0_156
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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