脛骨高原骨折の免荷期間に対して運動学習を実施した際の効果検証
書誌事項
- タイトル別名
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- ~クロスオーバーデザインを用いた検証~
説明
<p>【はじめに、目的】</p><p> 脛骨高原骨折のような運動器疾患は、荷重制限による免荷期間が長期化することが多い。この間に歩行障害、筋力低下、関節可動域制限など二次障害を生じやすくなることが知られている。八幡らは体重免荷においてheel contactにおける大腿-下腿の相対位相にて、膝関節周囲の協調性が低下することを報告している。我々は第52回日本理学療法学術大会において、荷重制限がある期間中に大腿四頭筋とハムストリングスの協調性向上を図る目的で運動学習を行い、その結果、大腿四頭筋とハムストリングスの協調性向上が得られ、膝関節の受動的な運動や痛みが消失したことで二次障害予防の効果に繋がったことを報告した。今回はこの免荷期間中に大腿四頭筋とハムストリングスに対して運動学習の効果が二次障害予防へと繋がるのかを確認するために再検証した。</p><p>【方法】</p><p> 対象は脛骨高原骨折を呈された2名(60歳代、男性)とした。研究デザインはクロスオーバーデザインを使用し、基礎水準測定期(A)は日本整形外科治療ガイドラインに基づき関節可動域練習、筋力練習、荷重練習を実施し、操作導入期(B)はA期間の理学療法に加え大腿四頭筋とハムストリングスを用いた運動学習を行った。各2名A期B期順序を変えて介入行う。運動学習課題は長座位の状態で膝窩部に血圧計のマンシェットを設置し最大圧を確認した後に、その最大圧から半分の圧力(1/2圧力)を運動学習する課題とした。試行回数は20回×5セットの頻度で行った。運動学習中のknowledge of result(KR)は正誤値に対して「強い、正解、弱い」とした。最大圧の1/2±5mmHgを正解としてKRを3施行に1回付与した。</p><p>【結果】</p><p> 先行研究のA期から開始した対象者では運動学習の正答率が上昇するに伴い痛みの改善、過剰な筋活動の改善をもたらし、運動学習後歩行時に二重振り子の原理が出現するようになった。今回のB期から開始した対象者では運動学習の回数を重ねる事に、正答率に大きな変化は見られず、不正解の強い、弱いに変化が見られ「弱い」の誤りは低下し、「強い」の誤りは増加を示した。これは「弱い」からの正答値を探索するのではなく、「強い」から正答値を探索する協調性の向上が見られ、結果的に筋発揮が行いやすくなったことによる結果だと考えられる。また運動学習後には、痛みの変化をもたらし、防御性収縮が消失した。</p><p>【結論】</p><p> 対象者2名共に大腿四頭筋とハムストリングスの筋協調性を伴う運動学習は長期化する免荷期間において有効に作用したと考えられる。今回の運動学習は、運動学習後から過剰な筋活動、関節可動域の改善、痛みの変化をもたらした。つまり、運動学習による大腿四頭筋とハムストリングスの協調性向上が免荷期間における二次障害予防の効果に繋がると言える。</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p> 本研究はヘルシンキ宣言を鑑み、本研究の概要、公表の有無と形式、個人情報の取り扱いについて事前に説明し、書面にて同意を得たのちに実施した。</p>
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 46S1 (0), H2-130_1-H2-130_1, 2019
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390564238112005248
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- NII論文ID
- 130007693630
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可