膝関節屈曲角度変化における足関節可動域測定の検討

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<p>【目的】</p><p>関節可動域(以下ROM)測定に関し,日本整形外科学会,リハビリテーション医学会,日本足の外科学会において,足関節のROM測定の肢位が膝関節屈曲位と記載されているが,具体的な膝関節角度は示されていない。そこで今回,膝関節の屈曲角度別における足関節ROMへの影響について調査した。</p><p>【方法】</p><p>対象は健常成人12名(男性6名,女性6名),年齢は23歳から30歳(平均24.6歳)である。日本足の外科学会で制定されている,足関節・後足部判定基準(JSSF scale)に基づき,矢状面可動域(他動的背屈・底屈総計),後足部可動域(他動的内がえし・外がえし総計)を他動的に測定した。関節角度は,東大式ゴニオメーターを使用し,5°刻みとした。肢位は腹臥位,膝関節角度0°,30°,45°,60°,90°の5パターン,計3回ずつ3人の検者で測定した。足関節周囲の筋や靭帯にストレッチング効果を与えないよう考慮し,測定する際に一週間以上の間隔を設けた。統計学的解析には,検者内・検者間信頼性は,級内相関係数を用い,足関節における膝関節屈曲角度別の有意差はt検定を用い,有意水準は1%とした。</p><p>【結果】</p><p>膝関節屈曲角度別の比較において,矢状面可動域の膝関節0°から45°間では,有意差を認めたが,膝関節屈曲60°から90°間では有意差を認めなかった。後足部可動域の膝関節0°から30°間で有意差を認めたが,膝関節屈曲45°から90°間では有意差を認めなかった。検者内・検者間信頼性は全ての角度で高い信頼性を得ることが出来た。</p><p>【結論(考察も含む)】</p><p>足関節のROMは臨床上,頻繁に用いられる評価の一つである。本研究の結果から,足関節ROM測定は膝関節屈曲60°以上で測定することが望ましいと考えられ,下腿の肢位が安定し,腓腹筋などの二関節筋の影響を除けたことにより,高い信頼性が得られたと考えられる。また,膝関節屈曲60°から90°間においても信頼性が得られたことから,ROMを測定する際には,一人で行う場合が多く,目視での設定が簡便で,下腿の固定や安定性が容易に得られることから,腹臥位の肢位にて膝関節を屈曲90°で測定することで正確なROM測定が行えるのではないかと結論付けられた。しかし,腹臥位がとれない患者の場合には,足先が着床しないよう環境を工夫することで,端座位の測定が可能になると考えられる。今後においては,腹臥位以外の肢位にて最適な膝関節屈曲角度を選定していきたい。</p><p>【結論】</p><p>足関節ROM測定時において,最も正確で信頼性のおける膝関節屈曲角度は60°から90°以上であることが判明した。その結果,安定性があり測定が容易である角度は膝関節屈曲90°である可能性が示唆された。</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>ヘルシンキ宣言に基づき,対象となる被検者各位に対し口答にて十分な説明を行い書面にて同意を得た。</p>

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390564238112022272
  • NII Article ID
    130007693712
  • DOI
    10.14900/cjpt.46s1.h2-171_2
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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