二点識別覚検査閾値における刺激速度依存性の解明

DOI
  • 横田 裕丈
    新潟医療福祉大学 リハビリテーション学部 理学療法学科 新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所
  • 大鶴 直史
    新潟医療福祉大学 リハビリテーション学部 理学療法学科 新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所
  • 小島 翔
    新潟医療福祉大学 リハビリテーション学部 理学療法学科 新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所
  • 宮口 翔太
    新潟医療福祉大学 リハビリテーション学部 理学療法学科 新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所
  • 齊藤 慧
    新潟医療福祉大学 リハビリテーション学部 理学療法学科 新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所
  • 犬飼 康人
    新潟医療福祉大学 リハビリテーション学部 理学療法学科 新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所
  • 大西 秀明
    新潟医療福祉大学 リハビリテーション学部 理学療法学科 新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所

抄録

<p>【はじめに、目的】Weberら(1870)が提唱した二点識別覚は知覚機能の評価指標として広く用いられており,2時間以上の受動的触圧覚刺激を継続することにより二点識別能が向上するが,0.5時間の刺激では変化しないことなど,触圧覚刺激の持続時間や周波数に応じて二点識別覚閾値が変化することが報告されている(Godde, 2000).しかし,これらの報告において詳細な検査方法は記載されておらず,どのような刺激速度や刺激量(深さ)で検査したのか不明である.刺激の速度や深さによって反応する受容器や求心線維が変化することや,微細な振動が受容野に影響を与えている可能性などが指摘されている(Vega-Bermudez,1999).そこで本研究では,様々な刺激速度を用いた二点識別覚検査を行うことで,二点識別覚閾値が速度に依存して変化するのかを検討し,至適な二点識別覚検査方法の確立を目指すことを目的とした.</p><p>【方法】対象は,健常成人15名とした.二点識別覚閾値測定には,特注により作成した二点式触覚刺激装置を用いて,安静イス坐位にて右示指の指腹に対して一点,または二点の触覚刺激を提示した.刺激ピンの突出量を0.5 mm,刺激提示時間を1000 msに固定し,刺激速度(刺激ピンの上昇速度)を1.0 mm/s, 5.0mm/s, 10.0 mm/s, 20.0 mm/sの4条件に設定した.被験者には提示された触覚刺激に対してできる限り早く回答することを要求し,反対側の手元に設置したボタンにより,確実に二点と判別できたときのみ二点と回答し,曖昧な刺激に対しては全て一点と回答するよう指示した.二点間の距離は1.0 mmから0.5 mm間隔で4.5 mmまでの8種類の二点刺激に,一点刺激を加えた合計9条件とし,4条件の刺激速度とともにランダムに提示されるようにコンピュータ上で設定した.刺激速度4条件と二点間距離9条件で計36回の刺激を1セットとし,合計10セット測定した.刺激間隔およびセット間隔はそれぞれ5 秒,120 秒に設定した.</p><p>データ解析は,各刺激速度において横軸に二点識別覚閾値,縦軸に正答率をプロットし,一般化線形モデルに基づきロジスティック回帰曲線により回帰した.回帰により得られた心理物理曲線から50%の確率で正答できる値を二点識別覚閾値,75%閾値-25%閾値を弁別感度の値とした.統計解析は,反復測定分散分析の後,事後検定としてBonferroni検定を行った.有意水準は1%とした.</p><p>【結果】反復測定分散分析の結果,刺激速度と二点識別覚閾値の間で有意差が認められた.事後検定の結果,5 mm/s, 10 mm/s条件において,1 mm/s条件よりも有意に低い閾値を示した.弁別感度は刺激速度条件間で有意な差は認められなかった.</p><p>【考察】刺激速度に応じて反応する受容器や求心線維に差異が生じている可能性があり,今後刺激の深さと合わせて閾値の計測をしていくことで,至適な二点識別覚検査方法を確立させる可能性が期待できる.</p><p>【結論】二点識別覚閾値は,刺激速度に影響されて変化することが明らかになった.</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】本研究はヘルシンキ宣言の趣旨に則り,所属機関の倫理委員会の承認を得て行った.また,対象者には,書面および口頭にて実験内容に関する説明を十分に実施し,実験参加の同意を得た上で実施した.</p>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 46S1 (0), I-41_2-I-41_2, 2019

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390564238112062976
  • NII論文ID
    130007694180
  • DOI
    10.14900/cjpt.46s1.i-41_2
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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