ドロップジャンプ動作における足部の衝撃吸収と跳躍に着目した運動学的分析
書誌事項
- タイトル別名
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- −修正マルチセグメントフットモデルを用いた検討−
説明
<p>【はじめに、目的】ドロップジャンプ動作は着地後すぐに垂直跳躍を行う動作である.通常のジャンプ動作よりも関節にかかる負荷が大きいため,下肢関節の靭帯損傷のようなスポーツ急性外傷につながりやすいと言われている.しかし,最も衝撃の加わる足部の運動学的分析を行った研究は少なく、更に足部を多関節に分割し詳細に検討したものは存在しない.</p><p>近年足部を多関節として扱うモデルが増加してきている.特にLeardiniら(2007)が提唱するモデル(以下,LFM)は臨床的関連性が高く,いくつかの研究によってその信頼性が証明されている.その後,Portinaroら(2014)によってLFMのいくつかの点を修正したモデル(以下,MLFM)も開発されたため,ドロップジャンプ動作への応用妥当性を検証する必要がある.</p><p>本研究の目的は,LFMとMLFMを用いてドロップジャンプ動作時の衝撃吸収と跳躍における足部内運動を調査し,MLFMにおいて追加ないし変更された点をLFMと比較,検討することである.</p><p>【方法】健常成人10名を対象に40cm台からのドロップジャンプ動作を計測した.運動学データの取得には三次元動作解析装置VICONを用いた.被験者にはmulti segment foot model(LFM,MLFM)と同装置内蔵のplug-in gait full bodyモデルを組み合わせて反射マーカーを貼付した.解析区間は着地から床反力のピーク点(衝撃吸収相),床反力のピーク点から垂直跳躍するまで(跳躍相)の2相に分けて時間正規化を行った.角度算出には動作解析ソフトVidual3Dを用いて,母趾,前足部,中足部,後足部,下腿のセグメント間角度,第1,2,5趾,MLAの平面角度を算出した.モデル間の比較にはwilcoxonの符号順位検定(有意水準p<0.05)を用いて検討した.</p><p>【結果】MLFMでは母趾と前足部の3次元角度の算出が可能であった.母趾−前足部の角度(°±SD)(衝撃吸収相/跳躍相)は(X軸)-5.02±0.56/-4.57±0.38,(Y軸)4.02±0.71/3.36±0.47,(Z軸)2.31±1.13/3.44±1.27であった.踵骨の回内外角度は7.20±5.22/10.46±7.04であり,MLFMの方が有意に増大した(p<0.05).踵骨の回内は床反力のピーク後に最大となった.MLAは3.21±2.60/1.74±3.96であり,MLFMの方が有意に増大した(p<0.05).</p><p>【考察】MLFMでは踵骨のマーカーを増やし,回内外における下腿と踵骨の軸の変更を行うことで,LFMよりも詳細に踵骨の回内外の運動を捉えることが可能となったと考えられる.また床反力のピーク後に踵骨は回内することでより衝撃を吸収しやすい肢位となったと考えられる.</p><p>【結論】LFMとMLFMを用いて,ドロップジャンプ動作時の衝撃吸収と跳躍における足部内運動を調査することが可能であった.本研究の結果は,衝撃吸収と跳躍に寄与する足部機能を解明する一助となり得る.また足部の動作解析においてLFMよりもMLFMを用いた方が回内外の運動をより詳細に捉えることが可能であることが示唆された.</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】本研究は,ヘルシンキ宣言に基づいて実施した.また,本研究は埼玉県立大学倫理委員会の承認を得て実施した.すべての被験者に研究の主旨と内容の十分な説明を口頭及び書面にて行い,文書による同意を得た.</p>
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 46S1 (0), I-66_2-I-66_2, 2019
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390564238112066432
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- NII論文ID
- 130007694269
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可