SPMを用いたVBM解析における技術的注意点

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<p> Voxel-based morphometry(VBM)は,3D-T1WIを用いて脳容積を評価する手法である.3D-T1WIの信号値が解析結果に強く影響するため,信号対雑音比(SNR)が低下すると測定精度が低下する,空間的歪みが大きいと空間的正規化精度が低下する,静磁場強度の相違により解析結果は影響される,信号不均一性の影響で測定精度が低下するなどの技術的な問題点があるため,これらの特性を理解し,結果を解釈する必要がある.</p><p> VBM解析ソフトウェアとして代表的なものにstatistical parametric mapping(SPM)がある.Voxel-based specific regional analysis system for Alzheimer's disease(VSRAD)ソフトウェアはSPMソフトウェアの解析アルゴリズムを一部利用しVBM解析の汎用性を高めたものであり,VBM解析の臨床普及にも貢献した.VBM解析では3D-T1WIを灰白質画像や白質画像に分画(セグメンテーション)した後,ボクセルごとに統計解析するために,個々の脳に対して空間的正規化を行う.この空間的正規化では,線形と非線形の形態変形が行われるため,分画エラー(ミスセグメンテーション)の存在により正規化エラー(ミスレジストレーション)が発生し,ミスセグメンテーションが生じた領域のみならず,離れた場所でも解析エラーを観察することがある.また,T1WI以外のコントラスト画像を用いたVBM解析の可能性も示されている.</p><p> VBMで算出される脳容積は真値との比較が困難であるため,解析パラメータや前処理方法,撮像条件や解析する画像コントラスト最適化の検討において,なにが正しいのかを結論付けるには,多くの修飾因子が影響し合う点(例えば,静磁場強度の相違により,最適な信号不均一補正法や空間的歪み補正は変化する可能性がある.)に注意する必要がある.また,VBM解析法はミスレジストレーションやミスセグメンテーションを含んだ結果を示している.しかし,全脳を探索的に解析する手法としては非常に汎用性が高くそのメリットは大きい.使用する側が探索的ツールであることを理解することで,ミスリードされるリスクも大幅に減ると考える.</p>

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