ラグ相関解析を用いたダム流入量予測

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タイトル別名
  • inflow prediction of a dam through lag correlation analysis

抄録

<p>タイのチャオプラヤ川では河川流量の変動幅が大きく、ダムの運用が非常に難しい。こうした課題に対して、ダム流入量を正確に予測するシステムが重要となる。正確な予測をもとにダムを運用すれば、洪水が起こらない限界の水位までダムに貯水できるため、洪水のリスクと渇水のリスクの両方を低減できる。本研究では、チャオプラヤ川流域にあるダムのうち、総貯水容量134億㎥を誇るBhumibolダムの流入量予測を行う。先行研究では、解像度1度の全球の月平均降水量データをもとにラグ相関解析を用いて、過去の流入量変化を説明するモデルを構成した。本研究ではそのモデルを用いて将来の流入量予測を行い、モデルの実用性を検証した。本研究のラグ相関解析では、世界各地の月平均降水量の時系列データとBhumibolダム流入量の時系列データで線形回帰分析を行う。ただし、相関係数を計算する時、降水量の時系列データとダム流入量の時系列データにラグと呼ぶ時間差を作る。この時間差があるおかげで、モデルの入力値と出力値に時間差が生まれ、将来の予測が可能になる。そして、その相関係数をもとに高い相関を示す地点を選択し、その地点の降水量をもとにBhumibolダムの流入量を予測するモデルを構成した。解析の結果、2011年のタイで大洪水が起きた降水量を時系列データに含む場合、2012年以降の予測値が上振れする傾向があることが判明した。観測値とモデルの予測値の比較すると、2012年から2016の予測値は全て観測値より大きくなっている。これは時系列データのサンプル数が小さく、外れ値に対するモデルの安定性が低いことが考えられる。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390565134803131520
  • NII論文ID
    130007759990
  • DOI
    10.11520/jshwr.32.0_182
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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