リアリズムにおける慎慮 (プルーデンス) の意味内容に関する一考察

書誌事項

タイトル別名
  • On the Semantic Content of ‘Prudence’ in the Realist Thought of International Relations:
  • ―H・J・ モーゲンソー, R・アロン, 永井陽之助, 高坂正堯を対象として―
  • A Consideration of Hans J. Morgenthau, Raymond Aron, Yōnosuke Nagai, and Masataka Kōsaka

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説明

<p>本稿は, H・J・モーゲンソー, R・アロン, 永井陽之助, 高坂正堯における慎慮の意味内容として次の2点を提起する。第1に, 「結果の考慮」 に置き換えられる目的合理的な理解ではなく, 国家が利用可能な手段に即して追求する目的を定義することによる〈穏和〉な政策であり, それは力の均衡や外交を擁護することに関連する。第2に, 行動の自由を確保するために, 法的思考および道義的思考を退け, 状況の認識において徹頭徹尾具体的たろうとすることである。さらに, 慎慮のリアリストの思考様式に基づき, 状況認識が具体的であるための前提条件として次の2点を指摘する。第1に, 米国や日本等, 実在する国家について客観的条件に基づいた個性を重視して, 他国から類推しないことである。第2に, 状況が動態的・可変的である故に, 日々の出来事をフォローしてその影響に注意を払うとともに, 核兵器の開発に象徴される現代の革命的な変化を重視することである。こうした具体的な状況認識を重視したことが, 彼らがゲームの理論を含めて単純な見方を退ける一方, 政治を 「わざ」 と喝破してそれに固有の思考法・判断基準を強調したことが理解されるべきと論ずる。</p>

収録刊行物

  • 年報政治学

    年報政治学 67 (2), 2_334-2_355, 2016

    日本政治学会

参考文献 (10)*注記

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