実効性のあるスポーツ外傷予防戦略の確立に向けた歩み

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  • ジッコウセイ ノ アル スポーツ ガイショウ ヨボウ センリャク ノ カクリツ ニ ムケタ アユミ

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抄録

<p> 私はこれまで重篤スポーツ外傷の代表格とも言える膝前十字靭帯(ACL)損傷について、その発生機序の力学的理解と、それに基づく妥当な予防方略の確立を目的とし研究を行ってきた。得意な研究手法は、力学モデルを介して数理的に仮説を設け、これをヒト対象の統制実験で検証することでリスクとなる動作要因を同定するアプローチである。また、姿勢動揺特性からACL損傷リスクの高い集団を前向き的に判別するデータ駆動型手法(統計的学習)も取り入れてきた。そして現在、ケガの力学の背景に潜む認知行動・心理的因子の階層構造に着目し、より巨視的にACL損傷発生のシナリオを捉えることで、従前の予防研究とは異なる新規な予防コンセプトの着眼に至った。ここに至るまでに20年を要した。幸い、現場感覚として、このコンセプトは球技選手の外傷予防に貢献している。しかし、このコンセプトにサイエンスとしてお墨付きを付与するには疫学的検証が必須であろう。そうとは理解しつつも、私が体得してきた研究手法の中で疫学的手法はひとつのmissing pieceである。本シンポジウムにて、疫学研究を専門とする先生方からのご教授を元に、より一層、ACL損傷予防を発展させる所存である。</p>

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