兜岩層(鮮新統)から見出された新種<i>Tertiarius kabutoiwaensis</i> sp. nov., <i>T. minimus</i> sp. nov.

書誌事項

タイトル別名
  • <i>Tertiarius</i> <i>kabutoiwaensis</i> sp. nov. and <i>T. minimus</i> sp. nov. from a Pliocene deposit of the Kabutoiwa Formation, central Japan
  • Tertiarius kabutoiwaensis sp. nov. and T. minimus sp. nov. from a Pliocene deposit of the Kabutoiwa Formation, central Japan

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抄録

<p>群馬・長野県境に分布する兜岩層(鮮新統)からTertiarius kabutoiwaensis sp. nov. 及びT. minimus sp. nov. を記載し,日本の本属に所属する分類群を総括した。T. kabutoiwaensis sp. nov. は殻径6–13 µmで殻面はほぼ平ら。殻中心から放射状に1列の点紋列が配列し(大形の殻では殻縁で僅か束線状に,小形の殻では点紋が散在的になることがある),点紋列の密度は殻縁で5–8本/10 µm,点紋列中の点紋密度は約16個/10µmである。この点紋列は殻面で終了し,より小さい胞紋列が殻面/殻套境界から殻套へ続く。殻面/殻套境界はゆるいカーブ状である。殻縁部には黒線が5–6本/10 µmの密度で観察され,黒線間の小胞紋列は8–12本であった。T. minimus sp. nov. は殻径3.5–7 µmで殻面はほぼ平ら。殻中心からほぼ放射状又は散在的に点紋が配列する。この点紋列は殻面中心部で終了し,縁辺部~殻面/殻套境界は殻套からの細かい胞紋列が伸長している。殻縁部には黒線が3–6本観察される。走査電子顕微鏡による観察では,光学顕微鏡で観察された殻縁の黒線は両種とも殻内側に所在する肋である。殻面の中心近くに1個(付随孔2–3個),殻套ではすべての肋に有基突起(付随孔2個)が所在する。唇状突起は1個で,殻套有基突起が所在する肋に横向きに所在するが,稀に肋の基部に所在する場合もある。日本において唇状突起が殻套有基突起の所在する肋に横向きに存在する種は,他にTertiarius satsumaensis (H.Tanaka & Houk) Nakov et al.(鹿児島県,郡山層),T. oitaensis (H.Tanaka) H.Tanaka & Nagumo comb. nov. (大分県,尾本層)が見出されており,大分県に分布する尾本層から見出されたCyclotella notata Losevaと同定された分類群もTertiariusと同様な唇状突起所在の特徴を持つ。一方Tertiarius agunensis H.Tanaka(沖縄県,筆ん崎層。田中2014)は唇状突起が長胞中に所在するが肋に所在しないので,更なる検討が必要であろう。</p>

収録刊行物

  • Diatom

    Diatom 35 (0), 48-55, 2019-12-25

    日本珪藻学会

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