シーケンシャル記憶における後頭及び前頭θ波の役割

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抄録

<p>【背景】シーケンシャルな記憶課題において,記憶対象の呈示間隔を短縮すると,記憶成績が低下する.後頭や前頭のθ波は記憶処理機能を反映して変調することが知られていることから,呈示間隔の短縮が記憶成績を低下させるメカニズムを明らかにするため,課題実行中のθ波帯域脳律動(以下,θ波)を脳磁計で計測し,その振幅変調と記憶成績の関連を調べた.【方法】右利きの健常な若年者29名を対象とした.記憶課題は呈示間隔が600 msのslow条件と250 msのfast条件の2条件で構成した.順番に呈示される7つの矢印の方向(上下左右)を覚える記憶課題を実施し,3-5番目に呈示した矢印の平均正答率を算出した.また,各条件の記銘中盤(3-5番目の矢印の示中)における後頭と前頭のθ波振幅の時間平均を計算し,条件間で比較した.【結果・考察】記憶成績はslow条件よりfast条件の方が有意に低かった.一方,記銘中盤の後頭,前頭のθ波振幅はslow条件よりfast条件の方が有意に小さかった.後頭θ波は視覚的注意を反映し,前頭θ波はワーキングメモリ機能を反映することから,刺激呈示間隔の短縮によってこれらが機能しにくくなり,その結果記憶成績が低下したと解釈できる.</p>

収録刊行物

  • 生体医工学

    生体医工学 Annual57 (Abstract), S257_2-S257_2, 2019

    公益社団法人 日本生体医工学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390565134812131840
  • NII論文ID
    130007776775
  • DOI
    10.11239/jsmbe.annual57.s257_2
  • ISSN
    18814379
    1347443X
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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