脊柱アライメントと体幹屈筋/伸筋比の関連についての検討〜胸腰椎アライメントに着目して〜

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抄録

<p>【目的】脊柱アライメントは腹筋群と脊柱起立筋群の持続的な活動にて制御されており,腰仙椎アライメントの変化と体幹屈筋/伸筋比(以下F/E比)に関連があると報告されている.しかし腰椎と連続した構造体である胸椎に着目した報告は少なく,胸腰椎アライメントを変化させる因子としてF/E比の関与が予測されるが明らかではない.そのため,本研究は胸腰椎アライメントとF/E 比の関連を検討することにした.</p><p> 【説明と同意】ヘルシンキ宣言に基づき,対象者に目的及び方法を説明し同意を得た.</p><p> 【方法】対象は脊柱に整形外科疾患の既往がない健常女性25名(年齢20.5±4.3歳)とした.脊柱アライメントの評価はMilneらの報告に準じ,自由曲線定規を使用し,静的立位における胸椎後弯指数と腰椎前弯指数を対象ごとに3回測定し,その平均値を測定値とした.また,骨盤傾斜の評価はASISとPSISを結んだ線とASISを通る水平線とのなす角を骨盤傾斜角と定義し,測定した.体幹筋の評価はMcGillらの報告に準じ,体幹の屈曲と伸展の検査肢位の保持時間を測定し,屈曲の保持時間を伸展の保持時間で除した値であるF/E比を算出した.統計学的分析は脊柱アライメントの各測定項目(胸椎後弯指数と腰椎前弯指数、骨盤傾斜角)とF/E比間との相関をPearsonの積率相関係数を用いて検討し,有意水準は5% とした.</p><p> 【結果】胸椎後弯指数とF/E比に相関は認められなかった.一方で腰椎前弯指数とF/E比に負の相関(r=-0.48,p<0.05)があり,また骨盤傾斜角とF/E比にも負の相関(r=-0.47,p<0.05)を認めた.</p><p> 【考察】胸椎アライメントとF/E比との間には相関はなく,相互に影響を及ぼさないことが示唆された.胸椎の形態的な特徴も結果に影響したと考えられ,今後は胸椎アライメントと他因子の関連についても検討が必要である.なお,腰仙椎アライメントとF/E比との間には相関があり,体幹の屈筋群と伸筋群の活動の変化が腰仙椎アライメントを変化させる一因であると示唆された.</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390565134813933568
  • NII論文ID
    130007779488
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.38.0_o-009
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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