触診実技講習に超音波診断装置を用いた取り組み

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抄録

<p>【目的】養成校教育では,正確な触診技術の習得は,理学療法評価学等を学ぶ上で重要視されている.一方で,解剖学の初学者である学生にとって,身体部位の位置をイメージする事は難しく,技術習得に苦慮する学生が多く見受けられる.本研究では,近年,理学療法士にとって臨床及び研究のツールとなりつつある超音波診断装置(以下US)を触診実技講習に応用し,その教育効果を検討した.</p><p>【方法】対象は1年次必修科目「解剖学実習」を履修している理学療法学科の1年生83名とした.教育手法は,従来の触診実技講習に骨模型を併用した触診部位の説明に加え,USを用いたデモンストレーションを実施し,オリジナルの質問紙票にて教育ツールとしてのUSの有用性を検討した.</p><p>【倫理的配慮】本研究は,帝京科学大学の倫理委員会で承認(承認番号:18053)され,同意が得られた上で実施した.</p><p>【結果】アンケート回収数は79名(95.2%)であった.触診実習にUSを応用する事についての設問では,79名中71名が「非常に有意義であった」または「有意義であった」と回答された.一方で,9名が「どちらでもない」または「有意義でなかった」と回答された.自由記載の説問では,有意義であった理由として,人体構造を3次元的に捉えることが出来た等の肯定的な65件の回答が得られた.有意義でなかった理由として,US画像の理解が困難であった等の7件の回答が得られた.また,講義に対する要望として,USの説明時間の確保等について49件の回答が得られた.</p><p>【考察】USはリアルタイムに組織を観察する事ができる利点がある.多くの肯定的な回答結果から,触診実技講習にその利点を応用出来る可能性が示唆された.一方で,導出されたUS画像を理解する為に,事前にUSに関する講義を設定するなど,授業構成を再検討する必要性も示唆された.</p><p>【まとめ】触診実技講習でUSを応用することは,人体構造の3次元的な理解を促す手法となる可能性が示唆された.</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390565134814214528
  • NII論文ID
    130007779671
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.38.0_p-046
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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