重症ギラン・バレー症候群に対する介入経験—長下肢装具処方が奏功した1例—
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説明
<p>【はじめに】一般にギラン・バレー症候群(以下GBS)は予後良好と考えられているが、近年回復遅延例の報告も散見され、尾花らは回復遅延例に歩行獲得までに1年以上の期間を要した例を報告している。今回、回復遅延型に分類される重症GBS症例に対し、長下肢装具(以下LLB)処方が奏効し自宅退院に至った例を報告する。</p><p>【症例紹介】40代女性、専業主婦。X-4d腹痛、嘔吐、X-3d四肢の痺れと筋力低下を認めXd前医入院。X+5d症状増悪に加え嚥下と構音障害認め当院入院。同日の神経伝導検査で下肢の複合筋活動電位と複合感覚神経電位は導出不可。X+8d呼吸状態悪化し人工呼吸器管理となった。Hughes grade Ⅴ、mEGOS 9。</p><p>【経過】X+6d介入開始。MMT上肢1、下肢1で痺れと疼痛顕著であり、全身管理下で床上での介入。X+26d安静度拡大し車椅子離床開始、X+31d座位練習開始。X+33d 回復期病棟へ転棟。X+61d時点で起立困難、握力(右/左)6kg/4kgで身体機能改善乏しくm-FIM15点であった。 X+77d両側LLB作成し平行棒歩行練習開始。徐々に下肢近位筋力改善見られ、X+101d両側短下肢装具(以下SLB)に移行。X+116d両側SLB装着下で歩行器歩行自立。 X+133d両側SLB装着下でロフストランド杖歩行自立。 下肢遠位筋力の改善乏しくMMT下肢遠位2 〜1、BBS26 点であった。介入場面ではSLB装着せず、下肢遠位筋に神経筋電気刺激を併用し筋力トレーニング、立位バランス練習を積極的に実施。X+182dにはMMT上肢4 〜5、下肢近位4、遠位3、握力20kg/19kg、BBS40点、m-FIM87点まで改善、SLB装着せず屋内独歩自立で自宅退院となった。</p><p>【考察】神経伝導検査所見より下肢遠位筋の機能改善の遅延が予測された。LLBを処方し積極的に歩行練習を進めたことは、機能改善や耐久性向上に有用であったと考える。機能改善に伴い装具を調整し、速やかに自主練習や病棟生活での活動性向上を図れADL獲得に至った。 発症後6 ヶ月でも機能的に回復段階であり、今後の経過にも注目していく。</p>
収録刊行物
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- 関東甲信越ブロック理学療法士学会
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関東甲信越ブロック理学療法士学会 38 (0), P-059-, 2020
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390565134814218240
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- NII論文ID
- 130007779698
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- ISSN
- 2187123X
- 09169946
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可