波長掃引型光干渉断層計 (SS-OCT) を用いた象牙質齲蝕診断の有用性
書誌事項
- タイトル別名
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- Validity of Swept-source Optical Coherence Tomography (SS-OCT) for the Diagnosis of Dentin Caries
- Influence of Image Characteristics on the Diagnosis of Occlusal and Proximal Caries
- 臼歯咬合面齲蝕と隣接面齲蝕の診断における画像特性の影響
説明
<p> 目的 : 齲蝕は世界に最も蔓延した疾患の一つである. 今日の齲蝕治療において, 切削介入の対象となるのは主として細菌感染した象牙質齲蝕であり, 適切な治療を行うためには齲蝕の進行度を正確に診断する必要がある. 光干渉断層計 (Optical coherence tomography, 以下, OCT) は光を使って生体の断層画像を得る装置であり, なかでも波長掃引型OCT (Swept-source OCT, 以下, SS-OCT) は画像深度が深く, 歯科臨床での応用が期待されている. 本研究は臼歯咬合面と隣接面の象牙質齲蝕について, SS-OCTを用いた診断の有用性を評価した.</p><p> 材料と方法 : ヒト抜去大臼歯のなかから咬合面または隣接面に齲蝕を有する歯と健全歯をシリコン印象材に植立し, 歯列模型を作製した. 大臼歯の咬合面側から, SS-OCT (吉田製作所) を用いて咬合面または隣接面の3D画像を取得し, 3D画像から評価部位の2Dの断面画像を抽出した. SS-OCT画像を撮影した後, 歯列模型の頰側面からデジタル口内法エックス線写真 (Dentnavi Hands XD35, 吉田製作所) を撮影した. 得られたSS-OCT画像およびデジタル口内法エックス線写真の画像を用い, 象牙質齲蝕の診断を行った. 評価者は臨床経験5年以上の歯科医師10名とし, 齲蝕の進行度を4段階にスコア分類した. その後, 歯を半切して評価部位を齲蝕検知液で染色し, 半切面から得られた結果を基準として, SS-OCTおよび口内法エックス線写真の, 咬合面および隣接面の象牙質齲蝕に対する感度と特異度, カッパ係数を算出し, 有意水準α=0.05にて比較した.</p><p> 結果 : 咬合面および隣接面の象牙質齲蝕に対するSS-OCTの感度は, 口内法エックス線写真よりも有意に高い結果が得られたが (p<0.05), 特異度に有意差はみられなかった (p>0.05). しかしながら, SS-OCTの咬合面齲蝕に対する感度はやや低くなる傾向がみられた (p<0.05). SS-OCTの診断によるカッパ係数は, 咬合面および隣接面の象牙質齲蝕に対して同程度の高い一致率が得られたのに対し (p>0.05), 口内法エックス線写真のカッパ係数は隣接面齲蝕において有意に低く (p<0.05), 診断法による違いがみられた.</p><p> 結論 : SS-OCT画像を用いた象牙質齲蝕の診断は, 咬合面および隣接面において有用性を確認することができた. また観察する部位によって感度に違いがみられ, 画像特性を理解する必要性が示唆された.</p>
収録刊行物
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- 日本歯科保存学雑誌
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日本歯科保存学雑誌 62 (6), 296-303, 2019
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390565134815147136
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- NII論文ID
- 130007783227
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- ISSN
- 21880808
- 03872343
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可