日本のユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の経験を共有する

書誌事項

タイトル別名
  • Sharing Japan's experiences for the development of universal health coverage (UHC)
  • Sharing Japan's experiences for the development of universal health coverage (UHC) : a practice report from the UHC leadership course for Asian countries
  • a practice report from the UHC leadership course for Asian countries
  • JICA国際研修「アジア地域におけるユニバーサル・ヘルス・カバレッジ達成のための社会保険制度強化」の報告

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抄録

<p>緒言:全ての人が必要とする医療を可能な経済負担で受けられる体制,ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)は,国連とWHOが掲げる目標であり,アジアでいち早くUHCを達成したわが国は,アジア諸国のUHC達成への支援をその国際保健外交戦略の重要な柱と位置づけている.</p><p>国際協力機構(JICA)の国際研修「アジア地域におけるユニバーサル・ヘルス・カバレッジ達成のための社会保険制度強化」は,その戦略実現の重要な方策として2013~15年度に実施され,国立保健医療科学院は研修の企画立案そして実施等の技術面で全面的に支援した.本稿では,その概要と成果を報告する.</p><p>研修の内容:本研修はアジア諸国のUHC達成に関係する中堅職員を対象とし,わが国の医療保険制度の学習を通じて,各国に適用できるUHCのあり方に関する医療保険や医療経済の知識を習得するとともに,現地見学を通じて実務的経験を涵養することを目的とする.</p><p>本研修は 2 週間のコースで,前半の週は座学中心に,日本の医療保険制度と医療経済の基本知識を学習し,十分な基礎知識を習得した上で後半週において,医療保険システムの 3 要素すなわち,保険(支払)者,医療機関そしてその間に介在する審査支払機関の業務を実地見学する構成となっている.十分な知識を持って実地訪問をすることによって,関係機関の機能と役割,そしてその重要性の理解を深める.</p><p>後半週においては,講義と実地見学で得た知識と経験をベースに,各国でUHCを実現する上で必要となる医療経済学(患者負担割合と医療費との関連,医薬品の経済評価と薬価算定等)ならびに医師会等の利害関係者の理解と協力を得るための方策を日本の経験(審査支払への医師会の関与,保険診療への優遇税制適用等)を例に学び研修を総括する.</p><p>成果と考察: 3 年間にわたって 9 か国37人が修了した.研修は2016年度より対象国をアジアのみならずアフリカにも拡大して継続している.今後は修了者の活躍や各国のUHCの達成状況等の追跡評価が必要になろうと予想される.</p>

収録刊行物

  • 保健医療科学

    保健医療科学 68 (5), 425-433, 2019-12-01

    国立保健医療科学院

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