旧制第三高等学校における日本の鉱物学黎明期の教育用標本

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タイトル別名
  • Third Higher School mineral collection at the dawn of mineralogy of Japan

抄録

旧制第三高等学校は1894年に発足された旧制高等学校であり,1949年には新制京都大学と合同して分校となり翌年廃止となる。旧制第三高等学校由来の鉱物標本である「三高標本」は,現在,京都大学総合博物館に収蔵されている。2017年に,「三高標本」について京都大学総合博物館収蔵資料目録第2号,第三高等学校鉱物標本目録として目録を刊行するに至った。「三高標本」の内訳としては,鉱物標本3163点(鉱物種260種)であり,そのうち496点(鉱物種194種)はドイツの標本商クランツ商会より購入された標本である。明治から大正にかけて収集された標本であり,その多くが教育用に購入・収集された特徴を持つ。収集の背景には,当時の三高教授であった松島鉦四郎,岩崎重三らの尽力があり,また,採鉱冶金学科教授の比企忠も関わっている。現在では入手が困難な貴重な標本を多く含み,保存状態が良く,当時のラベルがほとんど失われずに保存されている点も重要である。鉱物種,産地の網羅性に優れた教育用標本である「三高標本」は,我が国の鉱物学の黎明期に,その研究の発展と教育に多大な貢献を与えた重要な標本である。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390565134816807424
  • NII論文ID
    130007786005
  • DOI
    10.14824/jakoka.2017.0_62
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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