クローン病におけるバルーン内視鏡を用いた深部小腸評価の有用性

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抄録

<p>【背景】 クローン病(CD)における粘膜治癒評価のための内視鏡スコアには深部小腸の評価は含まれておらず、深部小腸病変の臨床的意義は不明である。そこで今回、クローン病におけるバルーン内視鏡を用いた深部小腸評価の意義につき検討した。</p><p>【方法】 2012年1月から2017年7月までに経肛門的シングルバルーン内視鏡が施行されたCD患者142例のうち、臨床的寛解(CRP < 0.3mg/dlかつHarvey Bradshaw Index < 5)と定義された62例を対象とした。小腸を回盲弁もしくは吻合部から20cmまでを回腸末端、それ以深を深部小腸と定義し、回腸末端ではpartial SES-CDスコアを、深部小腸では改変したmodified SES-CDスコアを用いて内視鏡的評価を行った。内視鏡検査施行から1年以内の入院率、および入院の危険因子に関して後方視的に検討した。</p><p>【結果】 内視鏡検査後1年以内の入院となった患者は20例(32.3%)であった。入院の内訳は小腸イレウス15例(75.0%)、元病増悪3例(15.0%)、腹腔内膿瘍2例(10.0%)であった。多変量ロジスティック回帰分析では、Harvey Bradshaw Index(OR3.08、95%CI1.41-6.75; p = 0.005)、modified SES-CDスコア(OR3.39、95%CI1.72-6.63; p = 0.001)、が独立した入院の予測因子であった。深部小腸におけるmodified SES-CDスコアと入院率には有意な相関傾向を認めたが(p < 0.05)、回腸末端おけるpartial SES-CDスコアと入院率の間に相関は認めなかった。</p><p>【結語】 CDの内視鏡的粘膜評価においては回腸末端だけでなく深部小腸病変も含めた評価が必要である可能性が示唆された。</p>

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