スポーツと耳疾患, 聴覚, 平衡覚

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  • 和田 佳郎
    奈良県立医科大学耳鼻咽喉・頭頸部外科学 和田耳鼻咽喉科医院

書誌事項

タイトル別名
  • 第120回日本耳鼻咽喉科学会総会シンポジウム スポーツと耳疾患,聴覚,平衡覚
  • ダイ120カイ ニホン ジビ インコウ カガクカイ ソウカイ シンポジウム スポーツ ト ミミ シッカン,チョウカク,ヘイコウカク

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抄録

<p> スポーツと耳との関係は多岐にわたるが, ここではその一端を紹介する. スポーツにより外耳, 中耳, 内耳のあらゆる部位に疾患が生じ得る. 特にアスリートに対しては競技力の低下を招かないような治療法, 予防策を施す必要がある. 聴覚の音源定位能力は空間における自己と対象物の位置や運動の認識に用いられ, 音声コミュニケーション能力は団体競技におけるチーム内の意思疎通や情報伝達に役立っていることが知られているが, その研究や応用は今後の課題である. 聴覚障害者に平衡障害が併発する場合が多いことから, トップクラスの聴覚障害を持つ水泳選手 (デフスイマー) を対象に各種平衡機能検査を実施したところ, 特にカロリック検査 (56%), Mann's 検査や単脚検査の閉眼 (56%), oVEMP 検査 (44%) で高率に異常が認められた. デフスイマーの平衡機能障害の代償は視覚に依存する傾向が見られたが, 水泳の熟練度が高くなるほど体性感覚が重要になるとの報告もあり, さらなる検討が必要である. 世界における姿勢制御学の礎を築いた福田 精は, スポーツの動作中に基本的な緊張性頸反射や立ち直り反射が使われていることを明らかにし, 良いフォームとはこのような姿勢制御反射の上に成り立っていることを示した. 体操のトップアスリートの空間識を調べたところ, 一般健常人に比べて極めて正確で視覚に影響されない絶対的な重力感受性を有していることが明らかになった. 重力感受性はスポーツの種類により異なり, その競技の特性に合った効率的なトレーニング法の開発が必要である. スポーツパフォーマンスに関する聴覚や平衡覚のはたらきはいまだ不明な点も多く, 今後の基礎的および臨床的研究の発展が待ち望まれる.</p>

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