「スケールのパフォーマティヴィティ」とストラスブールの大モスク建設―アクターの言説実践に着目して―

  • 佐藤 香寿実
    お茶の水女子大学人間文化創成科学研究科・院生 日本学術振興会特別研究員 DC

書誌事項

タイトル別名
  • The ‘Performativity of Scale’ and Construction of the Grand Mosque in Strasbourg: Focusing on the Actors’ Discursive Practices
  • 「 スケール ノ パフォーマティヴィティ 」 ト ストラスブール ノ ダイ モスク ケンセツ : アクター ノ ゲンセツ ジッセン ニ チャクモク シテ

この論文をさがす

抄録

<p>本稿の目的は,フランス,ストラスブールの大モスクの建設過程およびその利用を通じて,言説実践としてのスケールがいかに実質的な効果を生み出したのかについて,「スケールのパフォーマティヴィティ」の観点から論じることである。同モスクは,ライシテ(非宗教性の原則)が重要視されるフランスにありながら,異なる制度を持つアルザス・モーゼル地方法を活用し,地方公共団体からの資金援助を受けて2012年に建てられた。本稿では,人文地理学で発展してきた社会構築主義的な「スケール」視角に依拠し,スケール言説がモスクの建設過程および物質性にいかに作用したか,またモスクの利用を通じて新たなスケール言説がいかに再構築されているか,インタビューで得た語りを引用しながら分析を試みた。分析において,アクターや状況に応じて登場する複数のスケールが,「ここ/よそ」の区別に結び付けられていること,さらにスケールの言説実践を通じて,「ここ/よそ」の境界は絶えず問い直されていることが示された。</p>

収録刊行物

  • 人文地理

    人文地理 71 (4), 393-416, 2019

    一般社団法人 人文地理学会

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

参考文献 (14)*注記

もっと見る

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ