新規複雑変異転座t(12;17;15)(p13;q21;q22)を持つ急性前骨髄球性白血病の白血病細胞動態

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タイトル別名
  • Leukemic cell kinetics of APL with a novel complex variant t (12;17;15)(p13;q21;q22)
  • 症例報告 第10回日本血液学会関東甲信越地方会 奨励賞 新規複雑変異転座t(12;17;15)(p13;q21;q22)を持つ急性前骨髄球性白血病の白血病細胞動態
  • ショウレイ ホウコク ダイ10カイ ニホン ケツエキ ガッカイ カントウ コウシンエツチホウカイ ショウレイショウ シンキ フクザツ ヘンイテンザt(12;17;15)(p13;q21;q22)オ モツ キュウセイ ゼン コツズイキュウセイ ハッケツビョウ ノ ハッケツビョウ サイボウ ドウタイ

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抄録

<p>69歳,女性。白血球減少と血小板減少で当科を紹介された。異常前骨髄球は骨髄の70.5%を占め,MPO・CD33・CD117陽性,CD13弱陽性,CD2・CD34・CD56・HLA-DR陰性であった。染色体分析でt(12;17;15)(p13;q21;q22)を認め,FISHでPML-RARA融合シグナルが派生15番染色体にのみ検出された。急性前骨髄球性白血病(APL)と診断しATRAを開始した。PML-RARA陽性分葉核細胞(PMN)は2週目から末梢血に出現し6週目には陰性化し,PML-RARA陰性PMNは6週目から増加した。10週目に分子生物学的寛解を確認した。末梢血で経時的に腫瘍細胞の分化と正常造血の回復を定量することは,APLを安全に寛解導入する上で有用である。t(15;17)により形成される2つの融合シグナルのうち本例ではPML-RARAしか検出できなかったが,臨床像だけでなくATRAによる白血病細胞動態も標準転座のAPLと同様であった。これはAPLの発症にはPML-RARAの方が重要であることを示す細胞遺伝学的所見と考えられる。</p>

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 61 (2), 103-109, 2020

    一般社団法人 日本血液学会

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