Presbyopia in female Japanese macaques of the Katsuyama free-ranging group
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- Nakamichi Masayuki
- 大阪大・人間科学
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- Ueno Masataka
- 大阪大・人間科学
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- Onishi Kenji
- 大阪大・人間科学
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- Yamada Kazunori
- 大阪大・人間科学
Bibliographic Information
- Other Title
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- ニホンザルの老眼-勝山集団のメスを対象にした毛づくろい距離の縦断的分析
Abstract
<p>ヒトは加齢に伴い、目の焦点調節能力が低下し、近くのものが見えづらくなる老眼を経験する。ヒト以外の霊長類でも、毛づくろいの際の目と手元の距離(毛づくろい距離)から、高齢になると老眼になることが、野生のボノボで定量的に、野生チンパンジーとニホンザルで逸話的に報告されている。これらの報告は横断的な調査に基づくものであった。そこで、勝山ニホンザル集団(岡山県真庭市)で撮りためた毛づくろい場面の写真をもとに、メスの毛づくろい距離を縦断的に分析し、老眼になり始める時期などを明らかにした。21歳以上になってから複数年にわたり毛づくろい距離が長いかどうかを主観的に推測できる写真がある15頭を分析対象とした。用いた写真は総計247枚であった。勝山集団で行動観察経験のある4名が独立に毛づくろい場面の写真を見て、毛づくろい距離が「普通」、「遠い」、「かなり遠い」の3件法で分類し、それぞれ1点、2点、3点として、平均点を算出した。4名の評定者全員が2点以上とした写真が複数時期に確認された個体について、2点の評点となった最初の写真の撮影時の年齢を老眼の開始時期とした。評点に1点と3点が同時に含まれる5枚の写真は、分析から除外した。2点以上の評点を得た写真が複数時期にある個体は、15頭のうちの12頭であった。これら12頭の毛づくろい距離の評点が初めて2点となった年齢は、19歳が1頭、22歳が5頭、23歳が2頭、24歳が4頭であった。残りの3頭のうちの2頭は、23歳前半で集団からいなくなり、残りの1頭は26歳4カ月の最後の写真撮影時に初めて2点となっていた。以上から、ニホンザルのメスのほとんどが22歳から24歳の間に老眼を経験すると言える。さらに、12頭のうちの6頭が2点の評点に達してから2年3カ月以内に、評点が3になった。また、27歳頃から毛づくろい距離が短くなり、2点以下に評点が低下する個体もいた。</p>
Journal
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- Primate Research Supplement
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Primate Research Supplement 35 (0), 56-56, 2019-07-01
Primate Society of Japan
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390565134838196608
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- NII Article ID
- 130007813489
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed