日本における学歴同類婚と妻の労働供給が家計所得の変動に与える影響に関する実証分析

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タイトル別名
  • An empirical analysis of the effects of wife labor supply and assortative marriage on change in household income in Japan
  • ニホン ニ オケル ガクレキ ドウルイコン ト ツマ ノ ロウドウ キョウキュウ ガ カケイ ショトク ノ ヘンドウ ニ アタエル エイキョウ ニ カンスル ジッショウ ブンセキ

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抄録

本論文は、わが国の近年の家計所得の変動あるいは家計間の所得格差の変化の要因として、既婚女性の労働供給量と学歴同類婚割合の変化を取り上げ、2種類の要因分解手法を用いた分析を行うことにより、それらの要因がどの程度影響を与えているのかについて実証的に検証することを目的にしている。  具体的には、出生動向基本調査の個票を使用し、夫が60歳以下の夫婦サンプルを対象として、平方変動係数を用いた家計所得格差の要因分解手法および所得分布の変化を個別の要因の属性構成変化の効果と構造変化の効果とに分解することが出来る比較的新しい要因分解手法であるFFL分解を行った。 平方変動係数を用いた家計所得格差の要因分解では、家計所得格差の要因として夫所得の影響が大半を占めていたが徐々に妻所得および夫と妻の所得の相関関係の影響も無視出来ない程度にまで大きくなってきていることが分かった。 一方のFFL分解を行った結果、家計所得の変動に対しては一部を除いていずれの分位、年次においても属性構成の効果の方が構造変化の効果よりも大きかった。属性構成の効果のなかでは夫所得の水準が最も大きかった。妻の高学歴化、労働供給の増加は家計所得の増加に対してプラスの効果を持っていた。構造変化の効果のなかでも夫所得の水準の寄与度がどの分位のどの年次においても最も大きかった。妻の属性のなかでは分位が高いほど教育年数の効果が大きかった。しかしながら、それぞれの要因の効果の大きさは分位によって異なっていた。学歴同類婚割合の効果は属性構成と構造変化の効果のどちらもごくわずかであった。

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