椎骨動脈に逆流波形を認めなかった鎖骨下動脈狭窄の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A case of subclavian artery stenosis with no backflow waveform in vertebral artery

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説明

<p>左鎖骨下動脈狭窄を呈していたにも関わらず,左椎骨動脈の分岐異常のために,鎖骨下動脈盗血現象を認めなかった1例を経験したので報告する。症例は70歳代男性,左半身の痺れを訴え,当院を受診した。頭部CT,MRIより脳梗塞と診断され,原因検索の目的で頸部血管エコーを実施した。頸部血管エコーでは両側の頸動脈に狭窄,閉塞の所見は認めず,椎骨動脈の血流に逆流は認めなかった。翌日造影CTを施行したところ,左椎骨動脈は大動脈弓から直接分岐し,左鎖骨下動脈に高度狭窄を認めた。再度,頸部血管エコーを行い,左鎖骨下動脈を観察すると,中枢側にモザイクシグナルを認め,最大血流速度4 m/s以上と上昇していた。通常,鎖骨下動脈中枢側に中等度以上の狭窄があると,鎖骨下動脈盗血現象が起こるが,本症例では分岐異常のため,左椎骨動脈に逆流が生じなかった。本症例では,検査前に聴診することや,上肢血圧の左右差の有無を確認することで見逃しを防ぐことが可能であったと考えられた。</p>

収録刊行物

  • 医学検査

    医学検査 69 (2), 267-273, 2020-04-01

    一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会

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