嚥下体操のアドヒアランスにおける遺伝寄与率:双生児研究

  • 山之内 理紗
    三重県立看護大学地域在宅看護学
  • 大村 佳代子
    三重県立看護大学地域在宅看護学 大阪大学大学院医学系研究科附属ツインリサーチセンター
  • 田中 健太郎
    岐阜大学医学部看護学科地域看護学分野 大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻
  • 尾形 宗士郎
    大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻
  • 田中 晴佳
    大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻
  • 大阪大学 ツインリサーチグループ
    大阪ツインリサーチグループ:岩谷良則,酒井規夫,神出計,木原進士,牧本清子,渡邊浩子,畑澤順,高橋正紀,渡邉幹夫,本多智佳,冨澤理恵(大阪大学大学院医学系研究科附属ツインリサーチセンター)
  • 神出 計
    大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻

書誌事項

タイトル別名
  • The Heritability of Adherence to Exercise for Dysphagia Prevention:Twin Study
  • エンカ タイソウ ノ アドヒアランス ニ オケル イデン キヨリツ : ソウセイジ ケンキュウ

この論文をさがす

抄録

<p>【目的】高齢者の嚥下障害は肺炎の主な原因の一つであり,その予防のために嚥下体操が普及している.本研究では,嚥下体操の実施時期別に,そのアドヒアランスの遺伝・環境要因の寄与率を算出する.さらに,具体的な実施困難理由を自由記述から明らかにする.</p><p>【方法】対象者は20 歳以上の成人双生児とした.嚥下体操は,上半身のストレッチと,舌筋力の運動を促すパタカラ発声を実施した.介入は2 週間,毎食前に1 日3 回実施することを依頼した.嚥下体操実施の有無は,所定の書式に各自で記載してもらった.分析は,体操導入後の時期別および曜日別に嚥下体操実施回数の平均値と標準偏差を算出した.これらの変数の遺伝寄与率を算出するため,単変量遺伝分析を行った.自由記載では,嚥下体操の実施が困難な理由に着目して内容分析を行った.</p><p>【結果】分析対象者28 組56 名のうち,一卵性が86%,女性が77%,平均年齢は58.6 歳(標準偏差11.7 歳)であった.嚥下体操の実施回数は,導入初期と休日で少なかったが有意差はなかった.体操導入後の時期別にみた嚥下体操実施回数の遺伝寄与率では,第一期0.65,第二期0.58,第三期0.52 であった.次に曜日別にみた嚥下体操の遺伝寄与率は,月曜から金曜は0.38~0.50 であるのに対し,土曜と日曜では0.00であった.自由記載からは,嚥下体操の実施困難理由として,〔平日の就労等に関連した継続困難〕や〔外食時の実施困難〕,〔導入初期の戸惑いによる実施困難〕等が挙げられた.</p><p>【考察】導入時期や,曜日による嚥下体操の実施回数には有意な差はみられなかった.体操導入初期では,遺伝による寄与が大きく,休日では環境による寄与が大きかった.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ