篩骨洞の若年性砂粒腫様骨形成線維腫例

  • 森下 裕之
    三重大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科
  • 小林 正佳
    三重大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科
  • 竹内 万彦
    三重大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Juvenile Psammomatoid Ossifying Fibroma in the Ethmoid Sinus

抄録

<p>若年性砂粒腫様骨形成線維腫(juvenile psammomatoid ossifying fibroma: JPOF)は線維性骨病変の一種である。組織学的に良性であるが,局所侵襲性があり術後再発率が高い。篩骨洞に発生し,内視鏡下に切除したJPOF例を報告する。症例は13歳男児で,初診1カ月前から左流涙過多を自覚し,他院小児科で経過観察のために施行したMRI像で左篩骨洞腫瘍を指摘され,当院当科へ紹介され受診した。左眼球突出を認め,左中鼻道から総鼻道にかけて腫瘍性病変を認めた。CT像では左篩骨洞を中心に5cm大の腫瘤を認め,眼窩内側壁,前頭蓋底に骨欠損が認められた。また,MRIのT2強調画像で腫瘤内部に多房性嚢胞変化を認めた。術前の生検で悪性所見を認めず,内視鏡下経鼻的腫瘍摘出術を施行した。術中の迅速病理検査にてJPOFが疑われたため,頭蓋底,眼窩内側壁は温存して分割切除した。術後の最終病理組織診断もJPOFであった。現在術後3年経過したが症状は消失し,頭蓋底および眼窩内側壁に腫瘍の残存を認めるが,再増生はしていない。JPOFは非常に稀な疾患であり,画像検査にて他の線維性骨病変や肉腫などの悪性腫瘍が鑑別となるが,その特徴を把握することで術前の予測が可能であると考える。</p>

収録刊行物

参考文献 (13)*注記

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