海底斜面上のtidal straining と懸濁物質の輸送過程

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タイトル別名
  • Residual Transport of Suspended Material by Tidal Straining over the Sloping Continental Shelf
  • カイテイ シャメン ジョウ ノ tidal straining ト ケンダク ブッシツ ノ ユソウ カテイ

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抄録

海底斜面近傍で,背景場の密度成層の斜面への射影として生じる水平勾配が,潮汐流の鉛直シアーによる変形“tidal straining”を受けることで,流れが斜面を駆け上る時に斜面下方の高密度水が乗り上げて成層が不安定化し,斜面を駆け 下る時に斜面上方の低密度水が乗り上げて成層が安定化する潮汐周期の変動が存在することが,夏季の東シナ海陸棚域に おける乱流微細構造観測によって初めて明らかとなった.乱流クロージャーモデルを組み込んだ鉛直一次元モデルを用い た数値実験を行い,海底斜面近傍のtidal straining,特に,潮汐流が斜面を駆け上る時の成層の不安定化を再現することに 成功した.このモデルにトレーサーを導入して海底起源の懸濁物質の輸送過程を考察した結果,tidal straining がもたらす 乱流混合の非対称性によって,海底から巻き上げられた懸濁物質が,海底斜面に沿って流されつつ,東シナ海陸棚上に引 き込まれる方向へ輸送されている可能性が示された.

収録刊行物

  • 沿岸海洋研究

    沿岸海洋研究 57 (1), 31-37, 2019

    日本海洋学会 沿岸海洋研究会

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