昼夜放牧飼養下におけるサラブレッド種当歳馬の成長に伴う食草行動および自発的運動の変化

  • 田辺 智樹
    北海道大学大学院環境科学院 現北海道立総合研究機構酪農試験場
  • 三谷 朋弘
    北海道大学北方生物圏フィールド科学センター生物生産研究農場
  • 上田 宏一郎
    北海道大学大学院農学研究院
  • 松井 朗
    日本中央競馬会日高育成牧場
  • 河合 正人
    北海道大学北方生物圏フィールド科学センター静内研究牧場

書誌事項

タイトル別名
  • The changes of grazing behavior and locomotion activity per day for stocked Thoroughbred foals with growth

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抄録

<p>ウマにとって放牧地は栄養摂取の場であるとともに運動の場でもある。本研究では、昼夜放牧飼養下におけるサラブレッド種当歳馬について、食草および哺乳時間と移動距離を測定し、月齢の進行に伴う行動の変化について明らかにした。試験には9頭のサラブレッド種当歳馬とその母馬を用い、5月から9月まで(子馬が1カ月齢から5カ月齢まで)朝から翌朝まで21時間の昼夜放牧を行なった。1日あたりの子馬の哺乳回数および累積哺乳時間は1カ月齢時(36回、40分)よりも4カ月齢時(28回、33分)の方が少なかった(P < 0.05)。1回あたりの哺乳時間はどの月齢でもおおむね70秒だった。子馬の食草時間は1カ月齢(335分/日)から3カ月齢(576分/日)にかけて長くなり(P < 0.01)、4カ月齢時(556分/日)ではほとんど変化しなかったが、離乳後の5カ月齢時(796分/日)では離乳前より長く(P < 0.05)、母馬の食草時間と同程度であった。放牧地での総移動距離は子馬が9.7~15.2km/日、母馬が10.1~16.4km/日だった。総走距離は子馬および母馬ともに1カ月齢時でもっとも長かった(P < 0.05)。以上の結果から、哺乳期の維持行動に費やす時間は子馬と母馬で大きく異なり、1カ月齢時は当歳馬が最も活発に活動する時期であるが、総移動距離は母馬と同程度であり、昼夜放牧飼養は当歳馬にとって成馬と同等の運動量が見込めると考えられた。また、離乳直前まで哺乳頻度は比較的高かったが、子馬の食草時間は3カ月齢まで長くなり、離乳後にはさらに長くなることから、放牧地は栄養摂取の場として特に離乳前後で重要であると考えられた。</p>

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