キャタライザー型脱墨剤の操業経験

  • 津田 裕
    日本製紙株式会社 岩沼工場 製造部

書誌事項

タイトル別名
  • Operating Experience of Catalyzer type De–inking agent
  • キャタライザーカタ ダツボクザイ ノ ソウギョウ ケイケン

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説明

<p>日本製紙株式会社岩沼工場は,当社における新聞用紙の基幹工場である。その原料の多くはDIPであるが,近年,UV印刷を含む古紙が増加したことで,その強固な皮膜を従来の脱墨剤では微細化することが出来ず,UVインキ片がパルプ中に残留する品質トラブルが散見される状況にあった。一方で,UV印刷を含む古紙のリサイクル推進を目的としたインキ剥離・分散能力を強化した設備開発や,リサイクル対応型UVインキの開発等が進められているものの,投資・採算の経済的なバランスを維持しつつ,突発的なDIP品質の悪化を防ぐには至らなかった。</p><p>そこで,これまでのアプローチとは異なり,脱墨剤の製品設計からUV印刷物のリサイクル向上について取り組んだ,日華化学株式会社のキャタライザー型脱墨剤を導入した。この脱墨剤は,UVインキのオリゴマー成分に含まれるエステル結合を触媒作用によって分解することで,従来の脱墨剤では難しかったUVインキの微細化が出来ることを見出した。また本脱墨剤はエステル分解作用も有することで,従来の酸化重合型インキについても優れたインキ剥離性能を有している。従来の脱墨剤と比較して,インキの剥離性,インキの微細化ともに優れており,これまで抱えていた夏場の白色度低下やUVインキによる品質トラブルを解消することができ,大きな効果を発揮している。</p>

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 74 (4), 325-328, 2020

    紙パルプ技術協会

参考文献 (1)*注記

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