生涯発達から見る「軽度」肢体障害者の障害の意味
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- 田垣 正晋
- 京都大学大学院教育学研究科
書誌事項
- タイトル別名
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- Constructing the meaning of "mild" motor disabilities from the viewpoint of life-span development
- The lifestories of individuals between the severely disabled and the able-bodied.
- 重度肢体障害者と健常者との狭間のライフストーリーより
説明
本研究は,「軽度」肢体障害者における障害の意味づけについて,生涯発達の観点から,健常者中心の環境における困難と,障害を持つ他者との関係性に焦点を当てて検討した。「軽度」の条件は,自らを「軽度」障害者と認めていて,身体障害者手帳を所持し,日常生活動作が自立していることとした。脳性麻痺あるいは分娩麻痺の対象者3 人に対して,幼少期から現在に至るまでの生活の流れに関する半構造化面接を行った。面接で得られた各ライフストーリーを,「通時的変化」と「現状」という時間枠から分析した。その結果,自己と障害との関係の変化プロセスが語られていた。それは「障害を常態視」→「脱価値的な体験への対処」→「障害を自己の中心に位置づける」というものだった。また,対象者は,障害の種類や程度に基づきながら,障害を持つ他者と同類意識を持っていた。さらに,健常者中心の環境における困難とは,障害が他者に伝わりにくいがゆえに,配慮を受けにくいことだった。このため場合によっては,介助を必要とする際,「軽度」肢体障害者は「障害の呈示のジレンマ」に陥ることが考察された。
収録刊行物
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- 質的心理学研究
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質的心理学研究 1 (1), 36-54, 2002
日本質的心理学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390566775149605760
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- NII論文ID
- 130007869760
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- ISSN
- 24357065
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可