小学3 年生の発表活動における発表者の自立過程

書誌事項

タイトル別名
  • Process of Reaching Self-Dependency as a Presenter
  • 小学3年生の発表活動における発表者の自立過程 : 「声が小さい」ことの問題化と「その子らしさ」の発見を中心に
  • ショウガク 3ネンセイ ノ ハッピョウ カツドウ ニ オケル ハッピョウシャ ノ ジリツ カテイ : 「 コエ ガ チイサイ 」 コト ノ モンダイカ ト 「 ソノ コ ラシサ 」 ノ ハッケン オ チュウシン ニ
  • the Case of a Third-Grade Child.
  • 「声が小さい」ことの問題化と「その子らしさ」の発見を中心に

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説明

本論文では,小学3年生の発表活動における相互作用の変容に着目し,ある子どもが発表者としてどのように自立していくのか,なぜ自立していくようにみえるのか,ということを明らかにした。1 年間のフィールドワークに基づき,朗読や進行,質疑応答といった発表行為の変容や,アーティファクト(人工物)に媒介される発表者-聴き手-教師の関係性の変容,自立に関わる問題の変容を分析した。その結果,(1)対象児が「声が小さい」ということがたびたび注意され,問題化された。彼女は教師の直接的支援を受け,教師による仲介によって聴き手との相互作用を成立させていた。(2)発表に言いよどみがあったが,発表者とアーティファクトとの関わり方に,教師によって「その子らしさ」がみいだされた。(3)聴き手は「聞こえない」と直接指摘し,発表者の「声が小さい」ことは,聴き手にとって「聞こえない」という問題であることが可視化された。教師による仲介は徐々に不要になった。(4)対象児が明瞭に発表し,質疑応答の連鎖が起こるようになった。「聞こえない」との指摘がなくなり,声が小さいことは「問題」にならなくなった。以上より,発表者としての自立は,問題の可視化と解消にみる自立,聴かれることによる自立,観察され期待される自立,個体論的と関係論的というディスコースの二重性と「自立」という問題の二重性,という4 点から仮説生成が可能であることが明らかになった。

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