関係に着目した「発達障害」概念の様相

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タイトル別名
  • Modality of the Concept of “Developmental Disabilities” by Focusing on Relationships
  • カンケイ ニ チャクモク シタ 「 ハッタツ ショウガイ 」 ガイネン ノ ヨウソウ

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抄録

「発達障害」という現象及びその用語が我々の日常に深く浸透している。何故ここまで急激な広がりを見せるのか。本論の目的は,筆者自身の経験世界を掘り起こし,その概念の意味・作用を明示することである。1年以上のフィールドワークから得た記録群(フィールドノーツ/会話記録/インタビューデータ)を元に,現象学的解釈学を援用した循環型のテクスト解釈法による研究経過の一端を提示する。筆者は,発達障害とされる研究協力者との「関係」において,複数の役割(研究者・友人・支援者)を演じ,その態度を変容させている。そこには,筆者自身の固執や問題意識,周囲からの役割期待から生じる,不安・葛藤・対立・軋轢がある。筆者は,それらを回避するために「発達障害」を「翻訳機能」「緩衝機能」「拘束機能」「同定-繋属機能」を持つ多義的な概念として用いていた。自らの存在と常識的世界を守る装置としての言葉の使用,及び「関係」への影響についての相互作用が明らかとなった。

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