二重エネルギーX線吸収法を用いた身体障がい者の男性における骨密度の横断的検討

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タイトル別名
  • Cross-sectional study of bone mineral density in men with motor disabilities using dual energy X-ray absorptiometry
  • ニジュウ エネルギー Xセン キュウシュウホウ オ モチイタ シンタイ ショウガイシャ ノ ダンセイ ニ オケル コツミツド ノ オウダンテキ ケントウ

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抄録

<p> 身体障がい者は, 自身の運動能力や生活環境により骨密度が低下しやすい特徴がある. しかし, 身体障がい者の骨密度についての報告は少なく, 特に成人以降の男性を対象にした研究は限られている. 本研究は身体障がいの男性の骨密度を, 二重エネルギーX線吸収法 (Dual energy X-ray absorptiometry) によって測定し, 身体障がい者における骨密度の実態を明らかにする事を目的とした. 対象は障がい者支援施設に入所している男性の身体障がい者33名 (年齢61.5±8.5歳) である. 骨密度はL2-4の腰椎 (以下腰椎) や大腿骨近位部など, 全身を全10箇所測定した. その結果, 腰椎では31名中5名, 大腿骨近位部では28名中15名の骨密度が骨粗鬆症のカットオフ値以下になった. 次に, 腰椎又は大腿骨近位部と, その他の部位の骨密度の相関を検討したところ, 腰椎は大腿骨近位部以外の部位と有意な相関を示した. 一方大腿骨近位部は腰椎, 肋骨, 胸椎と相関しなかったが, 骨盤や両脚など下半身の部位と強い相関を示した. 一般に骨折の好発部位として腰椎と大腿骨近位部が挙げられるが, 本研究では大腿骨近位部において骨粗鬆症のカットオフ値以下となる者が多かった. この理由として, 対象者の殆どが日常的に車椅子を用いるため, 歩行動作によって起こる大腿骨への荷重負荷が小さい事が挙げられる. このため, 動強度が低く, 座位行動の多い男性は, 大腿骨近位部の骨密度が低下しやすいことが示唆された.</p>

収録刊行物

  • 日本家政学会誌

    日本家政学会誌 71 (7), 437-444, 2020

    一般社団法人 日本家政学会

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