von Willebrand病患者に対する腎部分切除術の経験

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  • AN EXPERIENCE OF PARTIAL NEPHRECTOMY IN A PATIENT WITH VON WILLEBRAND DISEASE

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説明

<p>症例は28歳男性.主訴は両側腰背部の疼痛と発熱で前医を受診し右複雑性腎囊胞(Bosniak分類 IIF,出血性囊胞の疑い)と右腎結石症と診断され当院へ紹介された.結石陥頓が疑われflexible transurethral lithotomyを施行されたが症状は改善せず,精査を継続したところAPTTの延長が認められ,von Willebrand disease(VWD)と診断された.出血性腎囊胞による疼痛が否定できず,腎部分切除術(PN)を施行することとした.周術期はvon Willebrand factor(VWF)活性を測定しながら,VWFを補充した.術中の出血コントロールは良好でありVWF活性も十分であったが,術後6日目に仮性動脈瘤からの出血を認めた.緊急で動脈塞栓術を施行し,VWFの補充を再開した.術後14日目に凝固因子の補充を終了し,手術後23日目に退院した.以降出血や疼痛の再発はない.VWD患者においては周術期にデスモプレシンの投与またはVWFの補充を行うことが推奨されている.それにより,安全に手術を施行した報告が散見されるものの,これまでVWD患者におけるPNの報告は本症例を含め3例のみである.本症例においては周術期のVWF活性が十分であったにも関わらず,術後出血をきたした.VWF患者におけるPNでは,周術期の出血性合併症の可能性を念頭に置いた慎重な経過観察が必要である.</p>

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