ブナにおける花芽分裂組織発達と<i>FLOWERING LOCUS T</i>相同遺伝子発現との関係

DOI
  • 宮崎 祐子
    岡山大学大学院環境生命科学研究科
  • 佐竹 暁子
    九州大学大学院システム生命科学府
  • 北村 系子
    国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所北海道支所

書誌事項

タイトル別名
  • Relationship between floral meristem development and <i>FLOWERING LOCUS T</i> expression in <i>Fagus crenata</i>

抄録

<p>植物の花芽分化のタイミングを推定することは、花成を調節する環境要因を特定するために不可欠である。ほとんどの温帯樹種では、花成から開花にタイムラグのない一年生草本種とは異なり、花成から開花までの間に冬季休眠が存在するため、花芽分化のタイミングの正確な推定が困難である。一方、花成に関連する遺伝子の発現量を指標として花芽分化のタイミングを推定できる可能性がある。本発表では、開花の豊凶を示すブナを用いて、花芽分化のタイミングの推定における分子マーカーの有用性を示す。</p><p>春から秋に採取した花芽および葉芽の茎頂分裂組織が未分化な状態から花原基を形成する間に生じる形態変化を観察し、ブナにおけるFLOWERING LOCUS TのオルソログであるFcFT発現量を比較した。その結果、葉におけるFcFTの発現量は、7月下旬にみられた花原基形成の約2週間前にピークに達した。FcFT発現量は7月の葉芽よりも花芽で有意に高かった。これらの結果は、7月のFcFT発現が花芽形成のタイミングの信頼できる指標であることを示唆する。本研究によって、生態学的および生理学的アプローチと組み合わせた、植物における繁殖動態の解明における分子ツールの有用性が示された。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390566775155000576
  • NII論文ID
    130007880582
  • DOI
    10.11519/jfsc.131.0_233
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ