カシノナガキクイムシのmtDNA配列に見られたダブルピークについて

DOI
  • 濱口 京子
    国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所関西支所
  • 後藤 秀章
    国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所九州支所
  • 升屋 勇人
    国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所きのこ・森林微生物研究領域
  • 鎌田 直人
    東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林北海道演習林

書誌事項

タイトル別名
  • Double peaks observed in mtDNA sequence electropherograms of <i>Platypus quercivorus</i>

抄録

<p> カシノナガキクイムシは、ナラ菌を媒介してシイ・カシ・ナラ類の集団枯死を引き起こす森林害虫である。国内のカシノナガキクイムシには遺伝的な地域差が見られ、その遺伝的隔たりの大きさと形態差からカシノナガキクイムシとされるグループの中には複数の分類群が含まれると考えられる。演者らはこれらの系統分化の状況と生物地理学的背景を明らかにするために、国内外から得られたサンプルを対象とした分子系統解析を進めている。 </p><p> その一環として、本種のミトコンドリアDNAの塩基配列を解析したところ、一部のサンプルで波形データに顕著なダブルピークが見られた。ダブルピークが見られる原因としては、実験過程でのコンタミ、ヘテロプラズミー、核内ミトコンドリア偽遺伝子(Numt)の存在が考えられる。そのいずれかを確定するにはさらなる検討が必要であるものの、ダブルピークは特定のクレードに集中的に見られるなどいくつかの特徴が見られたことから、Numtの可能性が最も高いと思われた。今回の結果は昆虫のNumtに関する一知見となるとともに、カシノナガキクイムシの研究にmtDNA塩基配列を用いる際には、ダブルピークの存在に留意する必要があることを示している。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390566775155480192
  • NII論文ID
    130007881285
  • DOI
    10.11519/jfsc.131.0_853
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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