カシノナガキクイムシのmtDNA配列に見られたダブルピークについて
書誌事項
- タイトル別名
-
- Double peaks observed in mtDNA sequence electropherograms of <i>Platypus quercivorus</i>
抄録
<p> カシノナガキクイムシは、ナラ菌を媒介してシイ・カシ・ナラ類の集団枯死を引き起こす森林害虫である。国内のカシノナガキクイムシには遺伝的な地域差が見られ、その遺伝的隔たりの大きさと形態差からカシノナガキクイムシとされるグループの中には複数の分類群が含まれると考えられる。演者らはこれらの系統分化の状況と生物地理学的背景を明らかにするために、国内外から得られたサンプルを対象とした分子系統解析を進めている。 </p><p> その一環として、本種のミトコンドリアDNAの塩基配列を解析したところ、一部のサンプルで波形データに顕著なダブルピークが見られた。ダブルピークが見られる原因としては、実験過程でのコンタミ、ヘテロプラズミー、核内ミトコンドリア偽遺伝子(Numt)の存在が考えられる。そのいずれかを確定するにはさらなる検討が必要であるものの、ダブルピークは特定のクレードに集中的に見られるなどいくつかの特徴が見られたことから、Numtの可能性が最も高いと思われた。今回の結果は昆虫のNumtに関する一知見となるとともに、カシノナガキクイムシの研究にmtDNA塩基配列を用いる際には、ダブルピークの存在に留意する必要があることを示している。</p>
収録刊行物
-
- 日本森林学会大会発表データベース
-
日本森林学会大会発表データベース 131 (0), 853-, 2020-05-25
日本森林学会
- Tweet
キーワード
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390566775155480192
-
- NII論文ID
- 130007881285
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可