O-1-C09 強度行動障害のある利用者の生活環境改善に向けた取り組み

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  • 東 裕也
    社会福祉法人北翔会 医療福祉センター札幌あゆみの園 療養部 第3療養課

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抄録

はじめに A氏は3年前に前施設が閉鎖となり当施設に入所となった。器物破損や破衣行為などの問題行動があり個室での行動制限の生活を余儀なくされていた。今回、A氏の入所後3年間における生活環境改善に向けた取り組みを報告する。 事例紹介 A氏 男性30代後半 大島分類:17 強度行動障害スコア:34 病名:自閉症、最重度精神発達遅滞、てんかん 結果 1.個室から出る時間の拡大、活動等への参加 入所半年後には毎日14〜16時に個室から出て職員の見守りのもとデイルームで過ごせるようになったが、他利用者への他害がおこり、個室に戻ることもあった。入所1年後には食事をデイルームで摂取し、運動会などの園行事に参加可能となった。入所2年後に再び他利用者への他害が増えたが、対象者との距離をとる対策にてデイルームで過ごす時間を確保した。 2.寝具提供の取り組み 2枚合わせ毛布を使用していたが、眠る前に毛布破りが続き、A氏が熟睡状態になってから毛布を提供した。その後、仙骨部に発赤ができたため、セラピーマットを寝具として使用し、発赤は改善したが、早朝覚醒と毛布破きが多く見られた。この時期の平均睡眠時間は5.7時間であった。入所2年後にオムニマット+セラピーマット+キルティングの敷物を重ねて使用した。A氏はキルティングの敷物に自らくるまり入眠することがあった。朝まで眠る日が増え、早朝の放尿や毛布破りは減少した。平均睡眠時間は8.7時間であった。 考察 1.A氏のこだわりが強く個室に戻ることは何度かあったが、こだわる物や対象者をA氏から距離を置いたことが、A氏の行動制限の時間を減らすことにつながった。 2.寝具を薄い毛布からクッション性のある寝心地の良いマットに変更したことが、十分な睡眠時間の確保となり早朝の覚醒後の要求手段と思われる放尿や毛布破りという問題行動の減少につながった。 まとめ 今後もさらなる改善に向けて取り組みたい。

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