O-2-C08 重症児者を対象にした病院における特定医療型短期入所について

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抄録

NICUや小児の急性期病棟から在宅に移行する児の数は年々増えているが、その一方で在宅生活を支えるための施設の受け皿はまだ整備されていない現状がある。当院の診療圏である川崎市南部地域はこの10年間で周辺にNICUが3カ所開設されたこともあり、周産期医療は目覚しく改善された。しかしながら障害を残した重症心身障害児者(以下、重症児者)を継続的にフォローできる医療機関は少なく、レスパイトできる医療機関・施設もほとんど存在しない地域となっている。当院では数年前より重症児者の訪問診療に関わっているが、訪問診療中心の関わりは難しく医療面だけではなく家族の負担軽減という点でも十分な役割を果たしていない。小児在宅医療の方法として訪問診療だけでなく、特定医療型短期入所(特定短期)という診療所や病院施設でのあずかり医療という形態が近年少しづつ増えてきている。定期的に重症児者をあずかり、医療ケアを提供することで健康状態を把握しやすくなり在宅生活が安定しその結果、家族の休まる時間が増えることを目的とするものである。そこで当院では2015年11月より小児科の空床を利用して、特定短期の導入を病院で計画した。病院での特定短期を経験しているところは少ないため、経験が豊富なクリニックに御協力いただきながら病院内で事務管理、看護師、MSW、医師によるワーキンググループを結成し導入に当たった。開設後は訪問診療を行っていた重症者からあずかりを開始し、現在は利用者を増やしている。開設に至るまでの背景と経過、実際にあずかりを始めたことで利用者と家族の負担がどの程度軽減できたかを症例をとおして報告する。

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