ループ式電気焼灼切除術による子宮頸部円錐切除術に関する後方視的検討

  • 松坂 直
    大津赤十字病院産婦人科 兵庫県立尼崎総合医療センター産婦人科
  • 森下 紀
    兵庫県立尼崎総合医療センター産婦人科
  • 藤田 浩平
    大津赤十字病院産婦人科
  • 廣瀬 雅哉
    兵庫県立尼崎総合医療センター産婦人科

書誌事項

タイトル別名
  • Loop electrosurgical excision procedure for cervical intraepithelial neoplasia - retrospective analysis
  • ループシキ デンキ ショウシャク セツジョジュツ ニ ヨル シキュウ ケイブ エンスイ セツジョジュツ ニ カンスル コウホウ シテキ ケントウ

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抄録

<p>2011年1月から2017年12月の7年間に,子宮頸部上皮内腫瘍(cervical intraepithelial neoplasia;CIN)や早期子宮頸癌,あるいはその疑いのためにLEEP(loop electrosurgical excision procedure)による子宮頸部円錐切除術(LEEP法)を実施した症例に関して後方視的検討を行った.2019年12月までをフォローアップ期間とした.LEEP法は299例,針状電極を用いた通常の子宮頸部円錐切除術は102例に実施した.LEEP法では年齢は36.7±7.2歳(平均±SD,19-71歳)で,114例(38.2%)が未産婦であった.術後病理診断では,術前診断がCIN3のもののなかから子宮頸癌IA1期が5例(1.7%)認められた.100 ml以上の術中出血量を32例(10.7%)で認めた.術後に出血を主訴に予約外受診した症例は49例(16.4%)であった.術後頸管狭窄・閉鎖を呈した症例は存在しなかった.CIN3以下であった290例のうち,術後に再治療を要したものは,切除断端陰性163例中2例,断端不明・判定困難60例中1例,断端陽性67例中9例であった.再手術を行った症例では浸潤癌は認めなかった.円錐切除術後の妊娠に関する検討では,フォローアップ期間内に40妊娠が確認され,その転帰は,正期産26妊娠,過期産1妊娠,早産3妊娠(分娩週数,妊娠31週;35週;36週),流産4妊娠(すべて妊娠初期),人工妊娠中絶3妊娠,妊娠中1妊娠,転帰不明2妊娠であった.妊娠中期以降妊娠が継続し妊娠転帰の判明している症例での早産率は10.0%であった.当院のLEEP法に関しては,術前評価はほぼ正しく行えており,病変の遺残・再発や浸潤癌が存在するリスクはわずかにあるものの治療完遂度は高く,かつ将来の妊娠・分娩への影響は比較的少ないと考えられる.〔産婦の進歩72(3):251-258,2020(令和2年8月)〕</p>

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